1,000株で半期ごとに1株30円なら、月平均3,984円を受け取れます
配当金計算機は、1株あたりの配当金に保有株数と年間の支払い回数を掛けて税引前の配当金を求め、支払いのたびに引かれる税金を差し引いて、実際に口座へ入る金額を計算します。1株30円の配当を半年ごとに受け取る株を1,000株持っている場合、1回の配当は税引前で30,000円です。上場株式等の配当にかかる税率20.315%を掛けて1円未満を切り捨てた税金6,094円を引くと、入金額は23,906円になります。年2回で税引後47,812円、12か月で割った月平均は3,984円です。
同じ株を非課税のNISA口座で持つ場合は税金が引かれないため、年間60,000円、月平均5,000円になります。毎月ほしい金額を入れると必要な株数と投資額を逆算し、配当を買い増しに回す場合と現金で受け取る場合を年ごとに比べることもできます。この記事では、どんなときにこの計算が役立つか、税金が引かれる順序、支払い回数による違い、目標の月額配当に必要な資金、再投資の効果、配当をもらうための株の買い時、よくある勘違いと限界を順に説明します。
配当金の「手取り月額」を先に知っておく理由
銘柄選びでは配当利回りが目立ちますが、生活費や積立の目標に使うのは「毎月いくら口座に入るか」です。同じ利回り4%でも、100万円を投じたのか1,000万円を投じたのか、年1回の支払いか半年ごとか、課税口座かNISA口座かで、入金額と入金時期は変わります。この計算機は、その違いを円単位で見せるために作りました。
特に次の場面で使います。すでに持っている株の配当が税引後にいくらなのかを確かめるとき。「配当で毎月3万円」のような目標を決めて、いまの達成率と追加で必要な株数を見るとき。年1回配当の銘柄と半期配当の銘柄を、同じ基準の月平均で比べるとき。配当を使わずに買い増すと目標に何年早く届くかを見積もるときです。
計算の手順
- 1回の税引前配当 = 1株あたり1回の配当金 × 保有株数。年間配当を入力した場合は、支払い回数で割って1回分にします。
- 税金 = 1回の税引前配当 × 税率(20.315%)。この計算機では1回ごとに1円未満を切り捨てます。
- 1回の入金額(税引後) = 1回の税引前配当 − 税金。
- 年間の税引後配当 = 1回の入金額 × 年間の支払い回数。月平均はこれを12で割り、1円未満を切り捨てた金額です。
- 目標からの逆算は、年間の税引後配当が「目標の月額 × 12」以上になる最小の整数の株数を求め、その株数に株価を掛けて投資額とします。
次の表は、1株あたり年間60円を配当する銘柄を1,000株持ち、支払い回数だけを変えて計算した結果です(税率20.315%)。
| 支払い回数 | 1回の税引前 | 税金(1回) | 1回の税引後 | 1年の税引後 |
|---|---|---|---|---|
| 毎月 | 5,000円 | 1,015円 | 3,985円 | 47,820円 |
| 四半期(年4回) | 15,000円 | 3,047円 | 11,953円 | 47,812円 |
| 半期(年2回) | 30,000円 | 6,094円 | 23,906円 | 47,812円 |
| 年1回 | 60,000円 | 12,189円 | 47,811円 | 47,811円 |
この計算機は税金を1回ごとに切り捨てるため、支払い回数が多いほど切り捨てが増え、手取りが数円多くなる場合があります。毎月払いは47,820円、年1回払いは47,811円で、差は9円です。実際の源泉徴収では所得税等(15.315%)と住民税(5%)を別々に計算するため、1円ほど差が出ることがあります。端数処理や入金額は、証券会社の取引報告書で確認してください。
日本の上場株式の配当にかかる税金
大口株主等以外が受け取る上場株式等の配当には、15.315%(所得税および復興特別所得税)に地方税5%を加えた20.315%がかかります。国税庁の説明では、配当の支払いの際には、このうち所得税等15.315%が源泉徴収され、ほかに地方税5%がかかります。計算機の初期値20.315%は、この合計です。
確定申告では、次の3つの方法から選べます(国税庁 No.1330・No.1331)。
- 確定申告不要: 源泉徴収だけで納税が終わります。配当控除と損益通算は使えず、この配当は合計所得金額に含まれません。
- 申告分離課税: 税率は20.315%です。配当控除は受けられませんが、上場株式等の譲渡損失との損益通算ができます。
- 総合課税: 他の所得と合わせて累進税率で計算します。配当控除を受けられます(外国法人からの配当など一部は対象外)。上場株式等の譲渡損失との損益通算はできません。
申告する場合は、その年の上場株式等の配当の全額について、総合課税か申告分離課税のどちらかにそろえます。方法は確定申告のときに決め、あとから修正申告や更正の請求で変えることはできません。発行済株式の3%以上を持つ大口株主等の配当は、源泉徴収が20.42%で総合課税の対象です。
2027年(令和9年)1月1日以後に生じる所得からは、復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、あわせて防衛特別所得税1%が加わります。国税庁は、合計の税率は変わらないと説明しています。
NISA口座なら配当は非課税
金融庁の説明では、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益(売却益と配当・分配金)は非課税です。新しいNISAの年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円まで、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。ただし上場株式の配当を非課税にするには、配当金の受取方法を証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」にし、保有銘柄の配当基準日までに手続を終える必要があります。「配当金領収証方式」などでは非課税にならず、20.315%が源泉徴収されます。2009年1月の株券電子化の際に開設された特別口座に株式がある場合は、この方式を使えません(日本証券業協会)。
計算機の「NISA 0%」ボタンで、課税口座との差を確かめられます。1,000株・半期30円の例では、課税口座の月平均3,984円に対して、NISA口座では5,000円です。
毎月ほしい配当から必要な資金を逆算する
目標を税引後の月額で決めると、必要な年間の税引後配当はその12倍です。課税口座では税金で約2割が引かれるため、税引前ではその約1.25倍の配当が必要になります(1 ÷ (1 − 0.20315))。同じ利回りなら必要な投資額は目標の金額に比例し、利回りが高いほど減ります。次の表は、株価2,000円で半期配当の銘柄を課税口座で持つ場合です。
| 目標(毎月・税引後) | 配当利回り 3% | 4% | 5% | 6% |
|---|---|---|---|---|
| 月1万円 | 2,510株 · 5,020,000円 | 1,883株 · 3,766,000円 | 1,506株 · 3,012,000円 | 1,255株 · 2,510,000円 |
| 月3万円 | 7,530株 · 15,060,000円 | 5,648株 · 11,296,000円 | 4,518株 · 9,036,000円 | 3,765株 · 7,530,000円 |
| 月5万円 | 12,550株 · 25,100,000円 | 9,413株 · 18,826,000円 | 7,530株 · 15,060,000円 | 6,275株 · 12,550,000円 |
| 月10万円 | 25,099株 · 50,198,000円 | 18,825株 · 37,650,000円 | 15,060株 · 30,120,000円 | 12,550株 · 25,100,000円 |
たとえば毎月3万円なら、利回り3%で7,530株(15,060,000円)、5%で4,518株(9,036,000円)が目安です。利回りが高い銘柄は必要な資金が少なく見えますが、高い利回りが株価の下落によるものだったり、一度きりの記念配当や特別配当だったりすることもあります。直近数年の配当の推移もあわせて確認すると安全です。
配当を再投資するとどれくらい早まるか
受け取った配当で同じ株を買い増すと、次の配当は増えた株数に対して支払われます。計算機の再投資シミュレーションは、毎月の追加購入額を入れ、配当を受け取る月に、税引後の配当でその月の株価で買える分だけ整数株を買います。配当は毎年「増配率」ずつ、株価は「株価上昇率」ずつ上がると仮定します。1,000株(株価2,000円、半期30円)で計算した結果は次のとおりです。
| 前提(増配 · 株価上昇 · 毎月の追加購入) | 10年目の月平均(再投資) | 10年目(現金) | 20年目の月平均(再投資) | 20年目(現金) |
|---|---|---|---|---|
| 0% · 0% · 0円 | 4,962円 | 3,984円 | 6,293円 | 3,984円 |
| 3% · 3% · 0円 | 6,443円 | 5,198円 | 10,923円 | 6,986円 |
| 5% · 0% · 0円 | 8,097円 | 6,180円 | 21,042円 | 10,068円 |
| 3% · 3% · 3万円 | 15,250円 | 13,053円 | 35,054円 | 25,710円 |
最後の行のように毎月3万円ずつ買い増すと、毎月3万円の目標に再投資では18年目に届き、現金で受け取る場合は20年以内には届きません。20年目の月平均は、再投資が35,054円、現金が25,710円です。株価が上がらず配当だけが増える場合(3行目)は、同じ金額でより多くの株を買えるため、再投資の効果が最も大きくなります。実際の配当と株価は毎年同じ割合では動かないので、この表は方向をつかむための目安です。
配当をもらうには、いつまでに株を買うか
配当は、権利確定日の時点で株主名簿に載っている株主に支払われます。日本証券業協会の用語集(J-FLEC)によると、権利確定日の2営業日前が「権利付最終日」、1営業日前が「権利落ち日」です。権利付最終日までに買って持っていれば配当を受け取れ、権利落ち日に買っても今回の配当は受け取れません。権利落ち日には、理論上は配当に相当する金額だけ株価が下がります。
権利確定日は銘柄ごとに違い、決算日と同じ日が多いとされています。買う前に、企業の発表や証券会社のアプリで銘柄ごとの日程を確認してください。
間違えやすい点
- 年間配当を「1回の支払額」欄に入れる: 配当予想が年間60円と出ているなら、「配当金の入力方法」を「年間合計」にします。1回の支払額のまま半期を選ぶと、配当が2倍で計算されます。
- 税引前の利回りで目標を立てる: 利回り4%で1,000万円(2,000円の株を5,000株)を持つと、1年の税引前配当は40万円ですが、課税口座の税引後は318,740円で、月平均は26,561円です。目標は税引後で立てないと足りなくなります。
- NISAでも受取方法で課税される: 配当を証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」にしていないと、NISA口座の株でも20.315%が引かれます。
- 配当予想を固定の金額とみなす: 配当は企業の業績や方針で増減します。直近数年の実績もあわせて見て、予想より低い場合も試算してください。
- 申告方法を口座単位と銘柄単位で混同する: 国税庁によると、確定申告不要の選択は1回に支払を受ける配当ごとに行い、特定口座の源泉徴収口座で受け取る分は口座単位です。申告する場合は、上場株式等の配当の全額で同じ課税方式にします。
この計算機の限界
- 入力した税率を1回の配当に掛けて計算します。復興特別所得税の期間、確定申告での配当控除や損益通算、大口株主等の20.42%、住民税の申告による違いは計算しません。
- 外国株の配当にかかる外国の源泉徴収や外貨の為替は計算しません。円建てで1株あたり配当金を入れてください。
- NISA口座の「0%」は、受取方法を株式数比例配分方式にし、手続を終えている場合の想定です。年間投資枠や非課税保有限度額の管理は計算しません。
- 再投資シミュレーションは、配当と株価が毎年同じ割合で変わり、最初の配当が支払い間隔を1回すぎてから入り、整数株だけを買うと仮定します。売買手数料、減配、単元未満株の扱いは反映しません。
- 目標の逆算は、いまの1株あたり配当金と株価が変わらないものとして、整数株に切り上げて計算します。
基準日 税率と制度の説明は、2026-10-15に国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と下記の出典で確認しました。NISAの投資枠などは制度改正で変わることがあるため、金融庁の最新の案内もご覧ください。表の銘柄・利回り・増配率は計算の例であり、特定の銘柄の予想ではありません。
出典
- 01国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)上場株式等の配当の源泉徴収15.315%と地方税5%、総合課税・申告分離課税・確定申告不要の選択、大口株主等20.42%
- 02国税庁 No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度申告分離課税の税率20.315%、配当控除と損益通算の可否、令和9年以降の復興特別所得税・防衛特別所得税
- 03金融庁 新しいNISA(2024年以降のNISA)配当・分配金の非課税、年間投資枠360万円(つみたて120万円・成長240万円)、非課税保有限度額1,800万円
- 04日本証券業協会 NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項株式数比例配分方式への切り替えと、配当基準日までの手続
- 05金融経済教育推進機構(J-FLEC) 権利落ち、配当落ち権利確定日の2営業日前が権利付最終日、1営業日前が権利落ち日
よくある質問
1,000株で半期に1株30円の配当なら、実際の手取りはいくらですか?
1回の配当は税引前30,000円で、20.315%の税金6,094円(1円未満切り捨て)を引いた23,906円が入ります。年2回で税引後47,812円、12か月で割った月平均は3,984円です。
配当金の税率20.315%の内訳は何ですか?
上場株式等の配当(大口株主等以外)には、所得税および復興特別所得税15.315%に地方税5%を加えた20.315%がかかります。国税庁は、申告分離課税の税率を20.315%、確定申告不要の場合は15.315%が源泉徴収され、ほかに地方税5%がかかると説明しています。
毎月3万円の配当金を受け取るには、何株・何円必要ですか?
株価2,000円・半期配当の銘柄を課税口座(税率20.315%)で持つ場合、配当利回り3%なら7,530株(15,060,000円)、4%なら5,648株(11,296,000円)、5%なら4,518株(9,036,000円)、6%なら3,765株(7,530,000円)が必要です。
NISA口座の配当金は本当に非課税になりますか?
金融庁は、NISA口座で投資した商品の配当・分配金は非課税と説明しています。ただし上場株式の配当は、受取方法を証券会社の口座で受け取る株式数比例配分方式にし、配当基準日までに手続を終える必要があります(日本証券業協会)。1,000株・半期30円の例では、課税口座の月平均3,984円に対し、非課税なら5,000円です。
配当金は確定申告が必要ですか? 申告不要と申告分離の違いは?
上場株式等の配当は、源泉徴収だけで終える「確定申告不要」を選べます。申告する場合は、20.315%の申告分離課税か、累進税率で配当控除を受けられる総合課税のどちらかを、上場株式等の配当の全額で選びます(国税庁 No.1330・No.1331)。申告分離では上場株式等の譲渡損失と損益通算でき、配当控除は受けられません。
配当を再投資すると、毎月3万円の目標に何年で届きますか?
1,000株(株価2,000円、半期30円)に増配率・株価上昇率を年3%と置き、毎月3万円ずつ買い増す例では、再投資で18年目に毎月3万円へ届き、現金で受け取る場合は20年以内には届きません。20年目の月平均の税引後配当は、再投資が35,054円、現金が25,710円です。
配当をもらうには、いつまでに株を買えばいいですか?
権利確定日の2営業日前の権利付最終日までに買って持っている必要があります。1営業日前の権利落ち日に買っても今回の配当は受け取れません(J-FLEC)。権利確定日は銘柄ごとに違うため、企業の発表や証券会社のアプリで確認してください。
配当の支払い回数を変えると、年間の手取りは変わりますか?
この計算機では、年間60円・1,000株の場合、毎月払いは年間47,820円、四半期払いと半期払いは47,812円、年1回払いは47,811円です。税金を1回ごとに1円未満切り捨てるため、数円の差が出ます。