移動・電気・暖房・食生活を年間排出量に換算するカーボンフットプリント計算機
左側に走行距離、電気使用量、暖房の燃料など分かる値から入れると、右側に年間排出量と部門別の割合がすぐ出て、その下に国民1人あたり・世界平均・1.5℃目標と比べた棒グラフと、何を変えるとどれだけ減るかを示す表が続きます。
- 月あたり
- — 年間の値を12で割った値です。
- 1日あたり
- — 年間の値を365で割った値です。
- 国民1人あたり比
- — 消費ベースの1人あたり排出量に対する比率です。
- 1.5℃目標比
- — 1人2.5 tCO₂e目標の何倍かを示します。
- 最大の項目
- — 6項目のうち最も排出量が多い部門です。
- 目標までの差
- — 1.5℃目標までにさらに減らす量です。
| 変えること | 減る量 | 変えた後の年間排出量 | 目標比 |
|---|
この計算は住まい・移動・食事・ごみ・水道から直接出る排出だけを扱います。衣類や家電、サービスの購入に含まれる排出は入っていないため、下の国民1人あたりの値(全部門の消費ベース)より小さくなるのが普通です。
すぐ使える形で。
- すぐ見える画面入力場所と結果の場所をはっきり分けます。
- 結果を先に大事な数字を先に出し、過程は必要な分だけ見せます。
- 求めるものを減らす登録や余計な入力なしで使えるようにします。
カーボンフットプリント計算機の使い方
カーボンフットプリントは、ある活動が大気に加えた温室効果ガスを二酸化炭素の重さに換算した値です。この計算機はそのうち個人が直接動かせる部分、つまり移動・電気・暖房・食生活・ごみ・水道から出る1年分を足し合わせます。どの項目も「活動量 × 排出係数」という同じ形で計算され、6項目の合計が画面上部の大きな数字とぴったり一致します。
排出係数はツールの中に隠していません。特に電力の排出係数は国によって4倍以上違うので入力欄として表に出しました。日本の初期値0.477 kgCO₂e/kWhはEmberが集計した2025年の発電カーボンインテンシティで、2026年9月5日に確認した値です。契約先の公表値が分かっているなら、その欄を上書きしてください。ほかの係数はすべて下の「係数の出典」カードに書いてあります。
ひとつ注意があります。このツールは衣類・家電・サービスのように、買ったものにすでに含まれている排出を数えません。ですから結果は下の比較棒に出る国民1人あたりの値(全部門・消費ベース)より小さくなるのが普通で、その差がそのまま消費財に隠れている分です。
このツールが数える6つと、あえて外したもの
6項目はどれも自分の暮らしの中で数字を確認できるものです。下の表は実際の計算がどう進むかを3項目で示しています。画面に出る値と同じ係数、同じ丸め方です。
- 交通 — 自動車の走行距離と燃費、バス・地下鉄・鉄道の利用距離、短距離と長距離のフライト
- 電気 — 月の使用量と電力の排出係数
- 暖房・調理 — 燃料の種類、月の使用量、年間の使用月数
- 食生活 — 6段階のうち自分の食事に一番近いもの
- ごみ — 週の排出量と分別回収の割合
- 水道 — 月の使用量
- 外したもの — 衣類・家電・家具・電子機器の購入、オンラインサービス、公共インフラの取り分
| 項目 | 入力値 | 計算 |
|---|---|---|
| 自動車 | 8,000 km ・ ガソリン ・ 15 km/L | 8,000 ÷ 15 = 533.3 L × 2.35372 = 1,255 kgCO₂e |
| 電気 | 260 kWh/月 ・ 0.477 kgCO₂e/kWh | 260 × 12 = 3,120 kWh × 0.477 = 1,488 kgCO₂e |
| 暖房 | 都市ガス 40 m³/月 ・ 4か月 | 40 × 4 = 160 m³ × 2.02633 = 324 kgCO₂e |
電力の排出係数を入力欄として表に出した理由
同じ260 kWhを使っても、どの国の電気かで排出量はまったく変わります。スペインの0.154なら年間480 kgCO₂e、インドネシアの0.680なら2,122 kgCO₂eと4倍以上開きます。この値をコードの中に隠すと、利用者は自分の結果がなぜそうなったのかを確かめる手立てがありません。
- 日本 0.477 ・ 韓国 0.417 ・ 米国 0.384 ・ スペイン 0.154 ・ インドネシア 0.680(Ember、2026-09-05確認)
- 再エネメニューを契約しているなら、そのメニューの公表係数を入れてください
- 電力会社ごとの調整後排出係数が分かるなら、そちらのほうが正確です
- この値を変えると、電気の項目と電気自動車・エアコン暖房の項目が同時に更新されます
燃費のひと欄が交通排出量全体を左右する
自動車は6項目の中で最も大きな位置を占めることが多い項目です。計算は走行距離を燃費で割って燃料量を出し、燃料1リットルあたりの排出係数を掛ける方式なので、燃費を15 km/Lから12 km/Lに変えると同じ距離でも排出量が25%増えます。
- ガソリン 2.35372 kgCO₂e/L、軽油 2.66155(DEFRA 2026、バイオ混合分を除く化石燃料ベース)
- 燃費はカタログ値よりも、給油履歴から出した実燃費のほうが正確です
- 電気自動車はkWh/100 kmで入力し、上で入れた電力の排出係数をそのまま使います
- 車を使っていなければ燃料の欄で「車を使わない」を選ぶと燃費の欄が消えます
フライトに掛かる放射強制力という倍率
飛行機は二酸化炭素だけを出すのではなく、高高度で水蒸気・窒素酸化物・飛行機雲をつくり、それらが追加の温暖化効果を持ちます。このツールが使う短距離0.12786、長距離0.15282 kgCO₂e/人・kmはその効果を織り込んだ値で、織り込まない値よりおよそ1.7倍大きくなります。
- 短距離はおおよそ3,700 km以下、長距離はそれ以上と考えてください
- 往復なら片道距離を2倍にして入れます
- 羽田–新千歳 約820 km、羽田–那覇 約1,550 km、成田–ロサンゼルス 約8,800 km
- 短距離の係数のほうが小さく見えますが、離着陸の比重があるため、路線が短いほどkmあたりの排出はむしろ大きくなります。ここでの値は平均座席利用率を反映した路線平均です
暖房は使用月数を書かないと答えが出ない
冬の請求書1枚の使用量を1年中使ったものとして計算すると値は倍以上に膨らみ、逆に12で割ると実際より低くなります。だから月の使用量と年間の使用月数を別々に受け取ります。以前のバージョンは暖房シーズンを6か月に固定していましたが、その仮定が利用者から見えないことが問題でした。
- 都市ガス 2.02633 kgCO₂e/m³(DEFRA 2026)
- 灯油 2.54016 kgCO₂e/L
- LPガス 2.93936 kgCO₂e/kg
- エアコン暖房はkWhで入力し、上の電力の排出係数をそのまま適用します
食生活の6段階はどこから来た数字か
食事の項目だけは活動量を直接入れず、タイプを選びます。英国の成人55,504人の食事調査と、119か国38,000農場を扱った570件のライフサイクル評価を結び付けた2023年のNature Food論文(Scarboroughら)の1日排出量を365倍した値です。
- ヴィーガン 902 kgCO₂e/年(2.47 kg/日)
- ベジタリアン 1,518(4.16)
- 魚中心 1,730(4.74)
- 肉は少なめ 1,960(5.37) — 1日の肉が50 g未満
- 肉は普通 2,570(7.04) — 1日50〜99 g
- 肉が多い 3,738(10.24) — 1日100 g以上
分別回収は削減クレジットではなく処理経路の入れ替え
以前のバージョンはリサイクルした1 kgごとに-0.3 kgCO₂eを引いていました。それだと分別を熱心にする人のごみ項目がマイナスになり、全体の排出量まで押し下げてしまいます。いまは同じごみを埋立に送るかリサイクルに送るかの差だけで計算するので、この項目が0を下回ることはありません。
- 埋立経路 0.49729 kgCO₂e/kg、リサイクル経路 0.00465 kgCO₂e/kg(DEFRA 2026 家庭系残余廃棄物)
- 分別回収の割合が0%なら全量埋立、100%なら全量リサイクルとして計算します
- 週の排出量は袋の容量ではなく重さです。45 Lの袋ひとつでおよそ5〜8 kgです
- 生ごみは処理経路が別なので、この項目には入れないほうが実態に近くなります
結果が国民1人あたりより低く出るのは正常
比較棒の国民1人あたりの値は、その国の人が消費したすべてに含まれる排出を人口で割った消費ベースの統計です。ここには、このツールが数えない衣類・電子機器・建設・医療・公共サービスがすべて入っています。ですから2つの数字を同じものさしで測った値と見てはいけません。
- 日本 9.18 tCO₂ ・ 韓国 13.70 ・ 米国 15.81 ・ スペイン 5.44 ・ インドネシア 2.59(2023年、Global Carbon Budget)
- 世界平均 4.73 tCO₂(2024年)
- このツールの結果はおおむね国民1人あたりの40〜70%に収まります
- 差が大きすぎるときは、フライト距離か暖房の使用月数をもう一度確認してみてください
1.5℃目標の2.5トンが意味すること
比較棒でいちばん短い線は、個人の暮らしから出る排出を2030年までに1人あたり2.5 tCO₂eまで減らすとパリ協定の1.5℃経路に乗る、という研究結果です。この目標はこのツールが扱うのと同じ「生活消費」の範囲で設定されているため、国民1人あたりの値と違い、結果と直接比べても無理がありません。
- 2030年に1人2.5 tCO₂e、2040年に1.4、2050年に0.7が元の研究の段階目標です
- 結果が目標の3倍なら、3分の1にする必要があるという意味です
- 「目標までの差」はその差をkgCO₂eで示します
- 削減シナリオ表の「目標比」列は、その変更のあとで何倍が残るかを教えてくれます
削減シナリオ表の読み方
表の各行は、ほかの条件をすべてそのままにして、その項目ひとつだけを変えた場合の値です。複数行を同時に実行しても削減量はぴったり足し算にはなりませんが、どこから手を付けると効果が大きいかを選ぶにはこの形がいちばん分かりやすくなります。削減量の大きい順に並び、いちばん上の行は背景色で区別されます。
- 走行距離を20%減らす — 在宅勤務や通勤手段の変更でよく出る幅です
- 走行距離の30%を鉄道に替える — 移した距離ぶんの鉄道排出を足し戻した純削減です
- 電気使用量を15%減らす
- フライトを半分に減らす
- 食生活を1段階下げる — 論文の隣り合う段階の実際の差です
- 分別回収の割合を20ポイント上げる — すでに80%を超えていれば残りの幅だけ計算します
この計算がずれ得るところ
結果は近似値で、ずれる向きもおおむね決まっています。下の項目は値が実際より大きく、または小さく出る代表的な場合なので、数字を何かに使う予定なら先に確かめてください。
- 公共交通と航空の係数は英国政府の公表値で、日本の路線の実際の座席利用率や車両構成とは違います
- 食事はタイプ選択なので、同じ「肉は普通」の中でも個人差が大きくなります
- 世帯単位の電気・水道をひとりで使ったものとして入れると、1人あたりの排出量が過大になります
- 電力の排出係数は年平均なので、季節や時間帯による変動は反映されません
- この結果は排出量取引・企業報告・公式な届出に使える値ではありません
入力の前にそろえておくとよいもの
請求書と記録を先にまとめておけば一度で終わります。正確に分からない欄は空のままで構いません。空欄は0として計算します。
- 直近の電気の検針票1枚 — 月の使用kWh
- 冬の都市ガスまたは灯油の記録1枚と、暖房を使う月数
- 水道の検針票1枚 — 月の使用m³
- 給油履歴か、メーター表示の平均燃費
- 今年乗った便の路線と片道距離
- 世帯人数が複数なら、電気・水道・暖房を人数で割るかどうかを先に決めておくこと
係数の出典
燃料・交通・ごみ・水道の係数は英国DESNZが毎年公表する温室効果ガス換算係数2026年版、食生活は2023年のNature Food論文、電力の排出係数と比較の基準値はEmberとGlobal Carbon Budgetの資料を2026年9月5日に確認して使っています。
あわせて使えるツール
よくある質問
電気自動車に替えれば交通の排出量はゼロになりますか。
なりません。電気自動車は排気ガスを出さないだけで、充電した電気をつくる過程で排出が生じます。日本の0.477 kgCO₂e/kWhに電費15 kWh/100 kmを当てると、8,000 kmの走行でおよそ572 kgCO₂eです。同じ距離を燃費15 km/Lのガソリン車で走ったときの1,255 kgCO₂eよりは大きく下がりますが、ゼロではありません。電力の排出係数が低い国ほどこの差は開きます。
電力の排出係数はどこで確認できますか。
最も正確なのは契約している電力会社が公表している値です。再エネメニューを契約しているなら、そのメニュー基準の係数を案内してもらえます。確認が難しければ、このツールの初期値をそのまま使ってかまいません。日本の初期値0.477 kgCO₂e/kWhはEmberが集計した2025年の発電カーボンインテンシティで、2026年9月5日に確認した値です。
結果が国民1人あたりよりずっと低く出ますが、入力を間違えましたか。
ほとんどの場合は正常です。比較棒の国民1人あたりの値は衣類・電子機器・建設・医療・公共サービスまで含む消費ベースの統計で、このツールは移動・電気・暖房・食生活・ごみ・水道だけを数えます。ふつうは国民1人あたりの40〜70%に収まります。それよりずっと低いなら、フライト距離を入れ忘れたか、暖房の使用月数を少なく入れた可能性が高いです。
フライトの距離はどうやって調べますか。
航空券の予約確認やマイル積算の明細に区間距離が書かれていることが多いです。なければ大まかな値で十分です。羽田–新千歳が片道約820 km、羽田–那覇が約1,550 km、成田–バンコクが約4,600 km、成田–ロサンゼルスが約8,800 kmです。往復は2倍にして入れてください。
都市ガスの使用量は検針票のどこを見ますか。
ガスの検針票に「使用量」がm³で書かれています。給湯と調理も同じメーターを通るため、冬の使用量から夏の使用量を引くと暖房ぶんに近づきます。厳密に分けたいときは、夏の平均使用量を給湯・調理として差し引いた値を入れてください。
分別回収を100%にすればごみの排出量はゼロになりますか。
ゼロではなく、とても小さな値になります。リサイクル経路にも収集・選別・再加工に伴う排出があり、1 kgあたり0.00465 kgCO₂eが残ります。埋立経路の0.49729と比べればおよそ100分の1なので、分別はごみの項目で最も効果の大きい変更です。ただしごみの項目が全体に占める割合は、たいてい1〜2%にとどまります。
食生活の項目が交通より大きくなることがありますが、正常ですか。
正常です。車をほとんど使わず飛行機にも乗らない人なら、食生活が最大の項目になることはよくあります。肉の多い食事は年間3,738 kgCO₂eで、燃費15 km/Lのガソリン車で約23,800 km走ったのと同じ大きさです。削減シナリオ表で食生活を1段階下げる行が上位に来たなら、そこから手を付けるのが効率的です。
家族で使う電気と水道はどう分けますか。
結果を1人あたりで見たいなら、電気・水道・暖房の使用量を世帯人数で割って入れてください。逆に世帯全体の排出量を見たいなら検針票の値をそのまま入れますが、食生活は人数分だけ掛かるわけではないので、このツールで世帯合計を正確に出すことはできません。比較棒の基準値がすべて1人あたりなので、1人基準で入れるほうが読み解きやすくなります。
1.5℃目標の2.5トンは誰が決めた数字ですか。
IGESとアールト大学、D-matが共同で出した1.5-Degree Lifestyles報告書が示した1人あたりの生活カーボンフットプリント目標です。2030年に2.5 tCO₂e、2040年に1.4、2050年に0.7という段階が置かれています。国の削減目標を個人の生活消費の範囲に換算した値なので、このツールが扱う範囲と比較の対象が合います。
ほかのカーボンフットプリント計算機と結果が違うのはなぜですか。
3つが違えば結果も変わります。ひとつめは、どこまで数えるかです。消費財やサービスを含む計算機はこのツールよりずっと大きな値を出します。ふたつめは電力の排出係数です。みっつめは航空に放射強制力を織り込むかどうかで、このツールは織り込むため、織り込まない計算機よりフライトの項目がおよそ1.7倍大きくなります。2つの結果を比べるときは、まずこの3点をそろえてください。