PDFのページ回転: 回した向きをファイルに保存してこそ、ほかのソフトでもそのまま表示されます
PDFのページ回転とは、ページごとに記録されている表示の向き(回転値)を書き換えて、新しいPDFとして保存する操作です。このツールはPDFを開くとすぐにページごとの文字の向きを読み取り、横向きや逆さまになっているページを見つけて印を付けます。[nページを正しい向きに]を1回押すだけで、それらのページがまとめて直ります。文字情報のないスキャン画像は、拡大表示で絵の上になっている辺をクリックすると、その辺が上に来ます。
たとえばサンプルPDF(8ページ、264 KB)を開くと、3・4・8ページの文字が横向きまたは逆さまになっていることを検出して直し、文字情報のない6ページだけを手動確認用に残します。6ページも含めて4ページを直して保存したファイルは265 KBで、元のファイルの後ろに向きの記録が766バイト加わるだけです。元の文字や画像は書き直さず、選んだPDFはサーバーに送らず、いま使っているブラウザの中で処理します。
PDFのページを回転したい場面
- スキャンしたページが横になっているとき: スキャナーやスマートフォンのスキャンアプリは、紙を置いた向きのまま保存します。横向きに置いて撮ったページは、横に倒れた状態でPDFに入ります。
- 両面スキャンで裏面だけ逆さまになったとき: 両面スキャンの綴じ方向の設定が紙と合っていないと、偶数ページ(裏面)が上下反転して保存されることがあります。[偶数ページ]を選んで[180°]を押せば、一度で直せます。
- 横長の表や図面が縦長の文書に紛れているとき: 縦向きの用紙に横向きで印刷された表は、ページを右か左に90°回転させて初めて、画面上で横長に開いて読めます。
- 提出や印刷の前に向きをそろえたいとき: PDFビューアーで表示だけを回しても、ファイルには残りません。受け取った人が開いてもそのまま読めるようにするには、回転をファイルに保存する必要があります。両者の違いは、下の「表示の回転とページの回転」で説明しています。
使い方
- PDFを作業エリアにドロップするか、[PDFを選ぶ]を押します。初めての方は[サンプルPDFを開く]で、8ページの架空の点検報告書を開いてみてください。サンプルは文字の向きに合わせて直した状態で開き、[元に戻す]を押すと最初の姿を確認できます。
- 文字の向きの欄に横向きのページが表示されたら、[nページを正しい向きに]を押します。向きの帯で、強調色の辺が付いているページが横向きのページです。
- 文字のないページ(点模様)は、向きの帯かページ一覧からクリックして拡大表示に出し、絵の上が向いている辺の[こちらが上]を押します。
- 複数のページを同じ向きに回すときは、ページ一覧でクリックするか、[奇数ページ]・[横長ページ]・ページ番号で選んでから、[左90°]・[右90°]・[180°]を押します。何も選んでいなければ、これらのボタンはすべてのページに適用されます。
- [PDFを保存]を押します。ファイル名の末尾に「_回転」が付いた新しいPDFがダウンロードされ、元のファイルは変更されません。
向きの帯・拡大表示・ページ一覧の見方
- 向きの帯は、文書全体を1行に並べた図です。マスごとに、いま見えているページの形(縦長・横長)を描き、太い辺が文字の上を指します。太い辺が上にあって墨色なら文字が正しく立っているページ、横や下に強調色であれば、まだ横に倒れているページです。点模様のマスは文字情報がなく向きを読めなかったページ、薄い強調色の地は今回回転したページです。マスをクリックすると、そのページが拡大表示に出ます。
- 拡大表示は、1ページを大きく見せます。右・下・左の辺にある[こちらが上]の表示は、その辺が上になったときにそのまま読める向きで置かれています。ページ内の文字と同じ向きで置かれた表示をクリックすると、その辺が上に上がります。文字の向きを読み取れたページでは、クリックすべき表示が強調色で示されます。
- ページ一覧のサムネイルは、回転した向きのとおりに実際に回って表示され、回転したページには「↻ 90°」「180°」などの印が付きます。右上の強調色の点は文字がまだ横向きのページ、左上のチェックは選択中のページです。カード下の↺ ↻ ボタンは、そのページだけを回転します。
- キーボード: ページ一覧で矢印キーを使ってページを移動し、SpaceかEnterで選択します。Rキーで右90°、Lキーで左90°にそのページを回転し、Ctrl+Z(MacはCmd+Z)で1つ前の状態に戻せます。
表示の回転とページの回転は別物です
PDFビューアーで回したのに、保存して開き直すと元どおり横になっている場合、たいていは画面上の表示だけを回していたことが原因です。表示の回転は、いまの画面でページをどう見せるかを変えるだけでファイルの内容はそのままなので、ファイルを閉じたり他の人に送ったりすると、元の向きで開きます。Adobeのブログ記事でも、ブラウザーやAcrobat Readerで画面上は回転できても、その状態でPDFファイル自体に保存されるとは限らないと説明されています。Adobeのヘルプも、[View]→[Rotate view]で一時的に変えた表示は、次にPDFを開くと元の向きに戻ると案内しています。ブラウザーのPDF表示画面で回した向きも、ファイルに保存されると断言はできません。
ページの回転は、ファイル内のページ情報に回転値(Rotate)を記録する操作です。PDFの規格(ISO 32000-1 表30)は、この値を「画面表示や印刷のときにページを時計回りに回す角度」と定め、90の倍数だけを使い、書かれていなければ0°として扱います。回転値が保存されたPDFは、どのビューアーで開いても同じ向きで表示・印刷されます。このツールは、ページの文字や画像を描き直さず、この回転値だけを書き換えます。
回転値は、いまの値に加算されます
回転ボタンは、ページを特定の角度に固定するのではなく、いまの向きに角度を加えます。右90°は時計回り、左90°は反時計回りで、左90°は回転値に270°を加えるのと同じです。もともと横長に見えるよう回転値90°が入っているページ(サンプルの5ページ)もあるため、[元の向き]は0°にそろえるボタンではなく、最初に読み取った値に戻すボタンです。
| 元の回転値 | 押したボタン | 保存される回転値 | 見た目の変化 |
|---|---|---|---|
| 0° | 右90° | 90° | 時計回りに1回 |
| 0° | 左90° | 270° | 反時計回りに1回 |
| 90° | 右90° | 180° | 時計回りにもう1回 |
| 270° | 右90° | 0° | 1周して、回転値なしと同じ |
| 90° | 180°を2回 | 90° | 最初の向き |
| 90° | 元の向き | 90° | 最初に読み取った向き(0°ではない) |
拡大表示の下にある「PDFの回転値 a° → b°」は、ファイルにもともと入っていた値と、保存する値を示します。その上の「右に90°回転」といった表示は、この画面で加えた回転を、1周の範囲内の値で表したものです。
文字の向きで横向きのページを見つける仕組み
PDFの文字には、ページ上の位置と傾きを表す変換行列が付いています。このツールはPDF.jsでページごとに文字の断片とその行列を読み取り、文字の傾き角を0°・90°・180°・270°のうち最も近い値にまとめて、文字数を数えます。ある向きが文字全体の60%以上を占めていれば、それをそのページの文字の向きとみなし、その向きとページの回転値を合わせると文字が正しく立つと判断します。12°を超えて斜めになっている文字は数えません。
| サンプルのページ | 読み取った文字の向き | 元の回転値 | 正しい向きにした結果 |
|---|---|---|---|
| 3ページ 階別の点検結果表 | 90°(文字の上が左) | 0° | 右に90° |
| 4ページ 写真の説明 | 180°(逆さま) | 0° | 180° |
| 5ページ 月別の電気使用量 | 90° | 90° | すでに正しい向きなのでそのまま |
| 6ページ スキャンした領収書 | 文字情報なし | 0° | 手動で確認(右が上 → 左に90°) |
| 8ページ 確認欄 | 270°(文字の上が右) | 0° | 左に90° |
この方法が使えるのは、文字情報のあるPDFだけです。文字認識(OCR)をしていないスキャン画像のPDFは文字の断片がなく「文字なし」のままになり、文字が12文字より少ない表紙なども同様です。OCR済みのスキャンは認識された文字の向きに従うので、認識が間違っていれば判定も間違うことがあります。縦書きの見出しが多い表や図面のように向きが混在するページは「混在」として扱い、向きをそろえません。日本語の縦書きは、1文字ずつは正立しているため、正しい向きのページとして扱います。いずれの場合も、保存する前にページ一覧で一度目を通してください。
複数のページを選ぶ方法
| 選択 | 選ばれるページ | 向いている場面 |
|---|---|---|
| すべて | すべてのページ | 文書全体が同じ向きに倒れているとき(何も選ばなくても同じ) |
| 奇数ページ · 偶数ページ | 1・3・5… または 2・4・6… | 両面スキャンの表面か裏面だけが反転したとき |
| 横長ページ · 縦長ページ | いまの画面で横長(縦長)に見えるページ | 横長のページをすべて縦長に立てる、またはその逆にするとき |
| 文字が横向き | 文字の向きを読み取って、まだ横向きのページ | 正しい向きにする前に、対象を確かめたいとき |
| ページ番号 | 入力した番号(例: 2, 5-7, 10-) | ページ数の多い文書で、番号がすでに分かっているとき |
| ページ一覧でクリック | クリックしたページ。Shiftを押しながらクリックすると間のページも | 数ページだけを選びたいとき |
ページ番号欄の5-7は5ページから7ページまで(両端を含む)、10-は10ページから最後のページまでです。選択は回転するページを決めるだけで、保存したPDFには、選ばなかったページも元の順序ですべて入ります。
保存の仕組み: 元のファイルはそのまま、向きの記録だけを追記します
PDFの規格には、ファイル全体を書き直さず、変更した部分だけを末尾に付け足す「増分保存」が定められています(ISO 32000-1 7.5.6)。このツールはこの方式で、回転したページのページ情報だけを新しい回転値で書き直して元のファイルの後ろに付け、その位置を知らせる一覧を追記します。元のバイト列は1バイトも変わらないので、文字・画像・フォント・しおり・リンク・コメント・入力フォーム・文書情報がそのまま残り、写真を再圧縮したり文字を画像に変えたりすることもありません。
- ファイルサイズ: 増えるのは、回転したページのページ情報と位置の一覧だけなので、通常は1 KB前後です。サンプルPDFは264 KBから、3ページを直すと616バイト、4ページを直すと766バイト増えて、265 KBになります。
- コメントと入力欄: ページ上の注釈や入力欄も、ページと一緒に回ります。ただし「回転しない(NoRotate)」の指定があるコメントアイコンは、規格に従い、ページが回っても正立のまま残ります(ISO 32000-1 12.5.3)。
- もう一度回して保存すると: 保存したファイルを開き直して回転すると、その後ろにさらに記録が1回分付きます。ビューアーは最も後ろの記録を読みます。
- 構造が不揃いなPDF: ファイル末尾の位置情報が合っていないPDFは、追記する場所を見つけられないため、文書全体を書き直して保存し、状態表示でその旨をお知らせします。
電子署名のあるPDF
PDFの規格は、署名のある文書を末尾への追記方式で保存することは、署名を壊さない安全な方法だと説明しています(ISO 32000-1 表219 AppendOnly)。このツールはその方式で保存するため、署名した時点の内容がそのまま残り、署名を検証できます。ただし、PDFビューアーが「署名後に文書が変更された」と表示することがあり、提出先がそれを問題とみなす可能性もあります。
作成者が付けた認定署名(DocMDP)がある場合は、さらに注意が必要です。認定署名は、許可範囲が「変更なし」ならどんな変更でも署名が無効になり、それ以外の範囲でも許されるのはフォーム入力・署名・注釈だけです(ISO 32000-1 12.8.2.2)。ページの回転はこの許可範囲に入らないため、このツールは認定署名のあるPDFを開くと警告を表示します。契約書や証明書のように原本が必要な文書は、回転した写しを出してよいかを先に確認し、署名済みの原本は別に保管してください。
まれに、ファイル末尾の構造が整っておらず元のファイルの後ろに追記できないPDFは文書全体を書き直す必要があり、その場合は署名が壊れるため、署名のあるPDFなら保存の前にもう一度確認します。Adobe Readerで入力内容の保存などの追加機能を有効にする使用権限の署名(UR3)があるPDFも、ページの回転が許可範囲外の変更となり保存後に追加機能が使えなくなることがあるため、開いたときにお知らせします(ISO 32000-1 12.8.2.3)。
よくある間違い
- ビューアーで表示だけを回した: 画面上の表示の回転は、ファイルに残りません。このツールで回転してから、[PDFを保存]で受け取ったファイルを送ってください。
- 保存した後でまた回した: ダウンロード済みのファイルは変わりません。最後の向きで保存し直し、ダウンロードしたファイル名と時刻で最新のファイルを確認してください。
- 横長に作った表を縦に立ててしまった: 用紙の長辺ではなく、文字が読める向きを基準に回します。横長に作られた表は、横長に見えているのが正しい状態です。
- ページを選ばずに回転ボタンを押した: 何も選んでいないと、回転ボタンはすべてのページに適用されます。ボタンの左にある「すべてのページ」「選択したnページ」の表示を先に確認してください。
- [元の向き]を0°だと思っていた: 最初から回転値が入っていたページは、その値に戻ります。
- 正しい向きにした結果を確認しなかった: 文字の向きは文字情報を基準に判断するため、画像が大半のページやOCRが間違っているスキャンでは合わないことがあります。
- 少し傾いたスキャンを回して直そうとした: このツールは90°単位でしか回転しません。1°〜2°傾いた行は、傾き補正(デスキュー)機能のあるスキャンソフトで直す必要があります。
制限と注意
- PDFは一度に1つ、100 MB・1,000ページまで開けます。
- 回転は90°単位だけです。傾き補正、文字認識(OCR)、余白のトリミング、ページの並べ替え、ページの削除は行いません。ページを削除したり分けたりするには、PDF分割ツールを使ってください。
- パスワードで保護されたPDFは開けません。開くパスワードを知っていて権限がある場合は、先にPDFロック解除ツールで解除してください。ページの回転はPDFの権限のうち「文書の組み立て」に当たるため(ISO 32000-1 表22)、作成者が編集を禁止している文書では、その意図に従ってください。
- プレビューを描画できないPDFもあります。その場合は文字の向きを読めませんが、ページ番号や形で選べば、回転と保存はできます。
- ページ数の多い文書は文字の向きの解析に時間がかかり、その間も回転と保存ができます。このツールはChromeで動作を確認しており、ほかのブラウザーの処理速度は測っていません。
基準日 規格・ライブラリの出典とサンプルの数値は、2026-10-21に確認しました。
出典
- 01ISO 32000-1:2008 Document management — Portable document format (Adobe公開コピー)表30 ページ辞書のRotate(時計回り、90の倍数、既定0)、7.5.6 増分更新、12.5.3 NoRotate、表219 SigFlags・AppendOnly、12.8.2.2 DocMDP, 12.8.2.3 UR、表22 ユーザー権限ビット11(ページの回転)
- 02pdf-lib API — PDFPage.setRotation·getRotationページの回転値を90の倍数で読み書きする関数。このツールは1.17.1でPDFを読み、ページ情報を書き込む(MITライセンス)
- 03pdf.js 3.11.174 — src/display/api.jsTextItem.transform(文字断片の変換行列)、PDFPageProxy.rotate(ページが時計回りに回っている角度)、getTextContent。サムネイルと拡大表示もこのエンジンで描画(Apache-2.0ライセンス)
- 04Adobe Acrobat ブログ — PDFを回転した状態で保存できない主な3つの原因ブラウザーやAcrobat Readerで画面上は回転できても、その状態でPDFファイル自体に保存されるとは限らない
- 05Adobe Acrobat Help — Rotate pages in PDFs「View > Rotate view」で変えた表示は、次にPDFを開くと元の向きに戻る
よくある質問
PDFを回転したのに保存できないのはなぜですか?
PDFビューアーで画面上の表示だけを回していたことが多い原因です。表示の回転は、いまの画面にだけ適用され、ファイルには残りません。このツールはページごとの回転値をファイルに記録するので、回転してから[PDFを保存]で受け取ったファイルは、どのビューアーで開いても回した向きのまま表示されます。
PDFの1ページだけを回転できますか?
はい。ページ一覧でそのページのカードにある↺ ↻ ボタンを押すか、拡大表示に出して上になる辺をクリックすると、そのページだけが回ります。保存したPDFには、ほかのページも元の順序と向きのまま、すべて入ります。
PDFファイルはサーバーにアップロードされますか?
いいえ。選んだPDFは、いま使っているブラウザの中で読み込み、保存します。ページを開くために必要なツールのファイルだけを取得し、PDFの内容はどこにも送りません。別のPDFを選んだりページを閉じたりすると、作業内容も消えます。
横向きのページを自動で見つける機能は、スキャンしたPDFでも使えますか?
文字情報のあるPDFでのみ使えます。文字の断片の向きから判断するため、文字認識(OCR)をしていないスキャン画像は「文字なし」と表示されます。そうしたページは、拡大表示で絵の上が向いている辺をクリックしてください。OCR済みのスキャンは、認識された文字の向きに従います。
回転すると画質が落ちたり、文字検索ができなくなったりしますか?
いいえ。ページの文字や画像は描き直さず、回転値だけを書き換えます。元のバイト列はそのままで、変更したページ情報だけを後ろに追記するため、写真を再圧縮することはなく、検索できた文字もそのまま検索できます。ファイルサイズは通常、1 KB前後しか増えません。
電子署名のあるPDFを回転しても大丈夫ですか?
追記する方式で保存するので署名した時点の内容は残りますが、PDFビューアーが「署名後に文書が変更された」と表示することがあります。変更を制限する認定署名がある場合は、署名が無効と表示される可能性があるため、ツールが警告します。原本が必要な文書は、回転した写しを出してよいかを先に確認してください。
開けないPDFがあるのはなぜですか?
パスワードで保護されたPDF、壊れたPDF、100 MBまたは1,000ページを超えるPDFは開けません。開くパスワードを知っていて権限がある場合は、先にPDFロック解除ツールで解除してください。作成者が編集を禁止している文書では、ページの回転もその制限の対象です。
1°〜2°傾いたスキャンも直せますか?
いいえ。回転できるのは左右90°と180°だけです。わずかに傾いた行は、傾き補正(デスキュー)機能のあるスキャンソフトや編集ソフトで直してください。