WAVはMP3に小さく、MP3は必要な規格のWAVに戻します: ファイルはアップロードしません
WAV MP3 変換ツールは、WAVをMP3に、MP3をWAVに変換するツールです。ファイルを追加すると、形式に合った欄(WAV → MP3 または MP3 → WAV)に入り、どの高さの音がどれだけ含まれているかを周波数スペクトルで描画します。音質やサンプルレートを選ぶと、変換結果から失われる帯域がスペクトル上に斜線で示され、結果ファイルのサイズもバイト単位で事前に表示されます。
最初の画面にあるサンプルWAV(合成ギター12秒、44.1 kHz・16-bit ステレオ)は2,116,844バイトです。192 kbpsのMP3にすると289,018バイトになり、86%小さくなります。画面の予想サイズと保存されるファイルのサイズは一致します。変換はすべてこのブラウザー内で行われ、ファイルがサーバーに送られることはありません。
WAVをMP3に、MP3をWAVに変換するのはどんなときですか
WAVは音を圧縮せずにそのまま収めるので編集には向いていますが、サイズが大きくなります。MP3は人間の耳が感じにくい音を削って小さくする形式で、いったん削った音は元に戻りません。そのため、2つの方向では使う場面が異なります。
- 録音を送る・共有するとき(WAV → MP3): レコーダーやスマートフォンの録音アプリが作る44.1 kHzステレオのWAVは、1分で約10.6 MBあります。メールの添付やチャットでの送信では、容量が引っかかりやすいサイズです。同じ1分を128 kbpsのMP3にすると960,470バイト(約0.96 MB)になります。
- MP3しか受け付けない相手に渡すとき(WAV → MP3): 車のオーディオや古いMP3プレーヤー、アップロード欄の中には、MP3だけを受け付けるものがあります。拡張子だけ変えても中身はWAVのままなので、受け付けてもらえないことが多くなります。
- 編集ソフトに取り込むとき(MP3 → WAV): 圧縮されていないWAVは切り貼りしやすく、WAVしか読み込めない編集ソフトや機器もあります。編集後にMP3として保存し直すと、そのときもう一度圧縮されます。
- 決められた規格に合わせるとき(MP3 → WAV): 電話の音声ガイダンス、音声認識サービス、動画編集などでは、8 kHz・16 kHz・48 kHzや16-bit・モノラルといった条件が決まっていることがあります。サンプルレート・ビット深度・チャンネルを選べば、その規格のWAVを作れます。
使い方
- ファイルを追加する: 「ファイルを追加」を押すか、作業エリアのどこかにファイルをドラッグします。WAVは WAV → MP3 の欄に、MP3は MP3 → WAV の欄に入り、欄ごとに20件までまとめて追加できます。
- スペクトルを見る: 選んだファイルの平均の強さが灰色の面で描かれます。リストがある場合は、行を押すと別のファイルのスペクトルに切り替わります。
- 設定を選ぶ: WAV → MP3 では音質(64~320 kbps)とチャンネルを、MP3 → WAV ではサンプルレート(元・48・44.1・22.05・16・8 kHz)、ビット深度(16・24-bit)、チャンネルを選びます。ボタンごとに、その設定で変換したときのサイズが書かれていて、斜線も選んだ設定に合わせて動きます。
- 変換する: 「MP3に変換」または「WAVに変換」を押すと、リストのファイルを順に変換します。結果のバーは実際の進み具合に合わせて伸び、「中止」で途中で止められます。
- 聞いて保存する: 「元 / MP3(またはWAV)」を切り替えて、同じ位置の音を聞き比べます。再生中は、いま鳴っている音のスペクトルがオレンジ色の線で動きます。ファイルが1つなら直接保存され、2つ以上ならZIPにまとめるか、リストから1件ずつ保存します。
スペクトルの見方: 斜線は結果から失われる帯域です
横軸は音の高さ(周波数)で、0 Hzからそのファイルのサンプルレートの半分まで(最大24 kHz)を描画します。デジタルの音はサンプルレートの半分までしか記録できないため、44.1 kHzのファイルは22.05 kHzまでが表示されます。縦軸は強さ(dB)で、ファイル全体から等間隔に選んだ48か所(MP3は32か所)を4,096点ずつ切り出して平均しています。計算方法はブラウザーの音響分析機能(Web Audio APIのAnalyserNode)と同じなので、再生中に動くオレンジ色の線と灰色の面を同じ目盛りで比べられます。
- WAV → MP3 の斜線: このツールが使うMP3エンコーダーのLAMEは、ビットレートごとに決めた周波数より高い音を捨て、残ったビットを低い帯域に回します。斜線はその周波数から始まります。
- MP3 → WAV の斜線: 選んだサンプルレートの半分より高い音は、WAVに収まりません。8 kHzを選ぶと、4 kHzより上が斜線で覆われます。元より高いサンプルレートを選ぶと斜線は出ませんが、MP3になかった音が新しく生まれることもありません。
- 「ここから空き」の点線: 最も強い帯域より70 dB以上弱い音しか残っていない周波数です。MP3を追加すると、多くの場合16~20 kHzあたりに点線が現れます。そのMP3を作るときにすでに捨てられた帯域です。点線が斜線より左にあれば、その設定で実際に失われる音はほとんどありません。
| ビットレート | ステレオ | モノラル |
|---|---|---|
| 64 kbps | 11 kHz | 16.5 kHz |
| 96 kbps | 15.1 kHz | 20.5 kHz |
| 128 kbps | 17 kHz | 20.5 kHz |
| 192 kbps | 18.6 kHz | 20.5 kHz |
| 256 kbps | 19.7 kHz | 20.5 kHz |
| 320 kbps | 20.5 kHz | 20.5 kHz |
モノラルはチャンネルが1つなので、同じビットレートでもより広い帯域を収められます。そのためLAMEは周波数を1.5倍に引き上げます(上限は20.5 kHz)。このツールのエンコーダーでホワイトノイズを変換して測ったところ、64 kbpsのモノラルは約16.7 kHz、128 kbpsのステレオは約16.6~17.0 kHzまで音が残っていました(2026-10-20に実測)。人間が聞き取れる音はおよそ20 kHzまでなので、64 kbpsのステレオのように11 kHzより上を捨てる設定では、シンバルのきらびやかな響きのような最も高い音が減ります。
サイズはこう決まります
圧縮しないWAV(PCM)のサイズは、長さ(秒) × サンプルレート × チャンネル数 × ビット深度 ÷ 8バイトに、ヘッダー情報の44バイトを足した値です。固定ビットレートのMP3は1,152サンプルごとに1フレームを作るため、このツールのエンコーダーでは⌊(⌈サンプル数 ÷ 1,152⌉ + 1) × 144,000 × kbps ÷ サンプルレート⌋バイトになります。末尾の「+1」は、エンコーダーが最後に出力するフレームです。つまりMP3のサイズは音の内容に関係なく、長さとビットレートだけで決まり、画面の予想サイズと実際のファイルがバイト単位で一致します。
| 長さ | WAV | 64 kbps | 128 kbps | 192 kbps | 320 kbps |
|---|---|---|---|---|---|
| 1分 | 10,584,044 | 480,235 | 960,470 | 1,440,705 | 2,401,175 |
| 10分 | 105,840,044 | 4,800,261 | 9,600,522 | 14,400,783 | 24,001,306 |
| 1時間 | 635,040,044 | 28,800,313 | 57,600,626 | 86,400,940 | 144,001,567 |
MP3 → WAV では逆にサイズが大きくなります。3分の44.1 kHzステレオMP3をWAVに戻したときのサイズは、設定ごとに下の表のとおりです。サイズが増えても音質がその分よくなるわけではなく、元のMP3に入っていた音を別の入れ物に移しただけです。
| サンプルレート | ビット深度 | チャンネル | WAV |
|---|---|---|---|
| 44.1 kHz(元) | 16-bit | ステレオ | 31,752,044 |
| 48 kHz | 24-bit | ステレオ | 51,840,044 |
| 16 kHz | 16-bit | モノラル | 5,760,044 |
| 8 kHz | 16-bit | モノラル | 2,880,044 |
MP3をWAVに戻すとき: 長さ・サンプルレート・ビット深度
MP3のエンコーダーは、音の先頭に短い遅延を入れ、最後のフレームを埋めるために末尾へ空のサンプルを足します。LAMEで作ったMP3は、最初のフレームの情報タグにこの先頭遅延と末尾パディングのサンプル数を記録しています。このツールはその値を読み取り、前後を切り取って、元の録音と同じ長さのWAVを作ります。切り取るサンプル数は、ffmpegで展開した場合と同じです。タグがないMP3(このツールで作ったMP3も含む)は遅延の長さがわからず、すべてのフレームをそのまま展開するため、サンプルのMP3をWAVにすると元より1,872サンプル(約0.04秒)長くなります。
- サンプルレート: 「元」のままならMP3と同じ値で保存します。値を変えるとリサンプリングされます。このとき新しいサンプルレートの半分の94%付近から高い音を取り除くため、半分を3%以上上回る音は90 dB以上小さくなり、低い音に折り返して混じることはありません。そのかわり、8 kHzのWAVでは約3.4 kHzまでが均一に収まり、4 kHzに近い音は少し弱くなります(2026-10-20、このツールのリサンプラーで測定)。
- ビット深度: 16-bitは、ほとんどのソフトが読み込める標準的な値です。24-bitはサイズが1.5倍になり、MP3から展開した音を16-bitに丸めるときに生じるごくわずかな誤差を避けられますが、失われた音が戻るわけではありません。
- 形式: 結果はヘッダー44バイトの標準的なPCM WAVです。RIFF形式はサイズを32ビットの欄に記録するため、4 GiBを超えるWAVは作りません。この上限は、48 kHz・16-bit ステレオで約6時間12分に相当します。
WAVをMP3に小さくするとき: サンプルレート・チャンネル・WAVの種類
- サンプルレート: MP3(MPEG-1)が使う32・44.1・48 kHzのWAVはそのまま維持します。録音機器の96 kHzは48 kHzに、88.2 kHzは44.1 kHzに下げ、8・16 kHzの録音は32 kHzに、22.05 kHzは44.1 kHzに合わせます。LAMEは本来、64 kbpsのステレオでサンプルレートを24 kHzに自動で下げますが、このツールは受け取り側との互換性のため、上の値に固定しています。
- チャンネル: 固定ビットレートのMP3は、モノラルにしてもサイズが変わりません。そのかわり、収められる帯域が広くなります。左右が同じ録音(マイク1本の話し声など)なら、モノラルが有利です。3チャンネル以上のWAVはステレオにミックスし、センターとリアのチャンネルはフロントの0.707倍の割合で左右に加え、低音効果チャンネル(LFE)は除きます。音が割れないよう、加えたあとで全体を下げます。
- WAVの種類: 8・16・24・32-bitの整数と32・64-bitの浮動小数点のPCM、チャンネル情報が付く拡張形式(WAVE_FORMAT_EXTENSIBLE)、4 GiBを超えるRF64を読み込めます。ファイルを小さな単位で読みながらすぐMP3にするため、サイズの制限はありません。ADPCMやμ-lawのように圧縮されたWAVは、ブラウザーが展開できる場合だけ変換でき、音全体を一度に展開する必要があるため長さは20分までです。
よくある間違い
- 拡張子だけ変える: .wavを.mp3に変えても、サイズは変わらず、中身はWAVのままです。相手によっては再生できなかったり、受け付けてもらえなかったりします。
- MP3をWAVにして音質を戻そうとする: サイズが大きくなるだけで、空いた帯域はそのままです。スペクトルの点線の位置が変わらないことで確かめられます。
- 320 kbpsなら元と同じだと考える: 320 kbpsでも、20.5 kHzより上は捨てて圧縮します。編集に使う元のデータは、WAVで別に残しておいてください。
- モノラルにするとMP3が半分になると考える: 固定ビットレートではサイズは変わりません。小さくするには、ビットレートを下げる必要があります。
- 8 kHzに下げてから44.1 kHzに戻す: 一度捨てた4 kHzより上の音は戻りません。規格の違う相手に送るときは、最初のMP3からやり直して変換してください。
制限と注意
- 曲名・アーティストなどのタグやアルバムアートは、結果に引き継ぎません。
- 区間の切り出し、音量の調整、ノイズの除去は行いません。必要な部分だけを残したいときは、先に音声カットのツールを使ってください。
- MP3は固定ビットレート(CBR)のみ、WAVは16・24-bitのPCMのみ作成します。μ-law・A-law・32-bit浮動小数点のWAVは作成しません。
- 内蔵のMP3デコーダー(WebCodecs)がないブラウザーでは、MP3を一度に展開する必要があるため、WAVに変換できるのは長さ20分までです。この場合はブラウザーのリサンプラーを使うため、サンプル数が予想より1つ違うことがあります。
- ページを更新したり閉じたりすると、結果は消えます。必要なファイルは先に保存してください。
基準日 規格・ブラウザーの資料は2026-10-20に確認しました。サイズ表・サンプルの結果・ローパスの実測値は、同じ日にこのツールのエンコーダーでChromeを使って測った値です。
出典
- 01MDN — Digital audio conceptsサンプルレートの半分(ナイキスト周波数)が記録できる最も高い音、CDは44.1 kHz・16-bitステレオ、人間は20,000 Hzまで聞こえる
- 02MDN — Web audio codec guideMP3のビットレートは32~320 kbps、サンプルレートはMPEG-1が32・44.1・48 kHz、MPEG-2が16・22.05・24 kHz
- 03LAME — libmp3lame/lame.cビットレート別のローパス周波数の表(lowpass_by_bitrate)、モノラルは1.5倍
- 04LAME — Technical FAQMP3の1フレームは1,152サンプル、最後のフレームのパディング、デコーダーの遅延。LAMEのライセンスはLGPL
- 05LAME — Mp3 info tag specifications情報タグに記録される先頭遅延(encoder delay)と末尾パディング(padding)
- 06Microsoft — WAVEFORMATEXTENSIBLE2チャンネルを超える、またはWAVEFORMATEXより高い分解能のWAVの形式情報、チャンネルをスピーカー位置に対応づけるチャンネルマスク
- 07EBU Tech 3306 — RF64RIFF/WAVEの32ビットのアドレスでは4,294,967,296バイト(4 GB)までしか指せないため、64ビットのアドレスを使うRF64を定めた
- 08W3C — Web Audio API: AnalyserNode周波数データはBlackman窓をかけて求め、20 log10でdBに変換する
- 09MDN — AudioDecoderブラウザー内蔵のデコーダー(WebCodecs)と対応ブラウザー
- 10wasm-media-encoders — LAME MP3エンコーダーのWebAssembly版MITライセンス(エンコーダー本体のLAMEはLGPL)。このツールは0.7.0をそのまま使用
よくある質問
ファイルはサーバーにアップロードされますか?
アップロードされません。ファイルはこのブラウザー内だけで読み込まれ、結果も端末の中で作られます。通信が発生するのは、初めてMP3に変換するときや、MP3 → WAVのサンプルを開くときにMP3エンコーダー(約0.14 MB)をダウンロードする場合だけです。
ファイル名の.wavを.mp3に変えるだけではだめですか?
名前を変えるだけでは中身がWAVのままなので、サイズも小さくならず、MP3しか受け付けないアプリや提出欄で拒否されることがあります。音を読み取ってMP3形式で圧縮し直して、はじめて本物のMP3になります。逆に.mp3を.wavに変えたファイルも、編集ソフトで開けないことがあります。
MP3をWAVにすると音質はよくなりますか?
よくなりません。MP3を作るときに削られた音はファイルに残っていないため、WAVに戻しても復活しません。サンプルMP3のスペクトルで17 kHzより上が空いているように、空いた帯域はそのままで、サイズだけが大きくなります。WAVしか受け付けない編集ソフトや提出先に、形式を合わせたいときに使ってください。
MP3の音質は何kbpsを選べばよいですか?
初期値は192 kbpsです。講義や会議のように話し声が中心なら64~128 kbpsで足りることが多く、音楽は192 kbps以上が無難です。LAMEエンコーダーはステレオで、128 kbpsなら17 kHzより上、320 kbpsなら20.5 kHzより上を削ります。自分のファイルにその帯域の音があるかをスペクトルで確かめ、元と結果を聞き比べて選んでください。
10分のWAVをMP3にすると、サイズはどれくらいになりますか?
44.1 kHz・16-bit ステレオのWAV 10分は105,840,044バイト(約105.8 MB)です。MP3にすると、128 kbpsは9,600,522バイト(約9.6 MB)、192 kbpsは14,400,783バイト(約14.4 MB)、320 kbpsは24,001,306バイト(約24.0 MB)です。MP3のサイズは長さとビットレートで決まり、このツールの予想サイズは実際のファイルとバイト単位で一致します。
電話の音声ガイダンスや音声認識向けに、8 kHz・16 kHzのWAVを作れますか?
作れます。MP3 → WAV の欄で、サンプルレートに8 kHzまたは16 kHz、16-bit、モノラルを選んでください。8 kHzのWAVには4 kHzより上の音が入らず、スペクトルにその帯域が斜線で示されます。受け取り側がμ-lawやA-lawのような圧縮WAVを求める場合、このツールでは作れません(PCMのみ保存します)。
ファイルのサイズや件数に制限はありますか?
WAV → MP3 はWAVを小さな単位で読み込むため、ファイルサイズの制限はありません。MP3 → WAV は、結果のWAVが4 GiBを超えられません(WAV形式の上限です)。1つの方向に20件まで追加できます。内蔵のMP3デコーダー(WebCodecs)がないブラウザーや、PCM以外の圧縮WAVは、音全体を一度に展開する必要があるため、長さ20分までしか変換できません。
WAVを24-bitで保存したほうがよいですか?
MP3から展開した音を16-bitに丸めるときのごくわずかな誤差を避けられるだけで、MP3で失われた音が戻るわけではありません。サイズは16-bitの1.5倍です。編集ソフトや提出先が24-bitを求める場合や、受け取ったあとに音量調整やエフェクトなどの処理を重ねる場合に選んでください。