検査結果を見たあとの確率を計算し直すベイズの定理計算機
左側に事前確率と感度、偽陽性率をパーセントで入力すると、右側に観察後の確率P(A|B)がすぐ表示されます。下には同じ条件を人数に置き換えた自然頻度と、事前確率だけを変えた場合の比較が続きます。
入力条件
場面を選ぶか、三つの欄のどれかを埋めると計算が始まります。空欄は灰色で見えている例の値をそのまま使います。
観察後の確率
事前確率と検査性能を入力すると、観察後の確率がここに表示されます。同じ検査でも事前確率が低いと陽性判定の意味は大きく下がります。
- 陽性が出る確率 P(B)
- —
- 反対の可能性 P(¬A|B)
- —
- 陰性のときの確率 P(A|¬B)
- —
- 陽性尤度比 LR+
- —
自然頻度 2×2
入力すると同じ条件を人数に置き換え、真陽性・偽陽性・偽陰性・真陰性に分けて表示します。
- 真陽性 — 該当者で陽性—
- 偽陽性 — 非該当者なのに陽性—
- 偽陰性 — 該当者なのに陰性—
- 真陰性 — 非該当者で陰性—
事前確率だけ変えた場合
検査性能はそのままで事前確率だけを変えた結果です。同じ陽性判定が事前確率によってどれだけ違って読めるかを確認できます。
- 事前確率——
- 事前確率——
- 事前確率——
- 事前確率——
- 事前確率——
計算は閲覧者のブラウザ内で行われ、入力値がサーバーに送信されることはありません。結果は入力した三つの値が正確な場合の数値なので、実際の検査や診断の判断はその分野の公式基準と専門家の読影に従ってください。
すぐ使える形で。
- すぐ見える画面入力場所と結果の場所をはっきり分けます。
- 結果を先に大事な数字を先に出し、過程は必要な分だけ見せます。
- 求めるものを減らす登録や余計な入力なしで使えるようにします。
陽性判定を確率として読み直す
感度99パーセントの検査で陽性が出たと聞くと、多くの人は99パーセントの確率で該当者だと受け取ります。ところが実際の値は条件によって16パーセントにも98パーセントにもなります。差を生むのは検査性能ではなく、検査を受ける前の確率、つまり事前確率です。ベイズの定理はこの二つを一つの式にまとめて、観察後の確率を求めます。
このページの計算機は事前確率と感度、偽陽性率の三つをパーセントで受け取ってP(A|B)を計算し、同じ条件を人数に置き換えた自然頻度まで並べて表示します。以下では各入力値が実際に何を測る数字なのか、画面の四つの枠がどう分かれるのか、尤度比と陰性のときの確率をいつ見るべきかを順に整理します。
事前確率が結果を支配する領域
事前確率は観察する前にその事柄が真である基本的な割合です。検査性能がどれほど高くても、対象集団に該当者が少なければ非該当者から出る偽陽性の数が真陽性の数を上回ります。だから同じ検査でも、症状がある人を調べる場合と無症状の全員を調べる場合とで陽性の意味がまるで変わります。
- 事前確率0.1パーセント — 偽陽性が真陽性を圧倒し、陽性の意味はほぼ残りません
- 事前確率1パーセント — 典型的な選別検査の領域で、陽性でも確率は20パーセント未満
- 事前確率10パーセント — 症状や接触歴がある集団に近い領域
- 事前確率50パーセント — 検査性能がそのまま結果に反映される領域
感度と偽陽性率は別々の軸である
感度は実際の該当者をどれだけ捕まえるか、偽陽性率は非該当者をどれだけ誤って捕まえるかを測ります。二つは独立した軸なので、片方が良いからもう片方も良くなるわけではありません。資料では偽陽性率ではなく特異度で書かれていることが多いのですが、二つを足すと100になります。入力を終えると画面の案内行に特異度の換算値が表示されます。
- 感度99パーセント — 該当者100人のうち99人を陽性として捕まえます
- 偽陽性率5パーセント — 非該当者100人のうち5人が誤って陽性になります
- 特異度 = 100 − 偽陽性率、上の例では95パーセント
- 見逃す確率 = 100 − 感度、上の例では1パーセント
画面の四つの枠が分ける基準
自然頻度の領域は入力した条件を人数に置き換えて四つに分けます。判定が当たった二つと、外れた二つです。確率を小数で見るより人数で見るほうが偽陽性の規模がはるかに鮮明になります。リスクコミュニケーションの研究で自然頻度の表現が勧められるのはこのためです。
- 真陽性 — 実際に該当者で陽性が出た人
- 偽陽性 — 該当者ではないのに陽性が出た人
- 偽陰性 — 該当者なのに陰性が出て見逃された人
- 真陰性 — 該当者ではなく陰性が出た人
数字で追う計算
事前確率1パーセント、感度99パーセント、偽陽性率5パーセントを1万人基準で入れたとします。画面と同じ丸め方で書くと次のようになります。陽性594人のうち実際の該当者は99人なので、P(A|B)は16.7パーセントです。
- 実際の該当者100人のうち陽性99人 — 真陽性
- 非該当者9,900人のうち陽性495人 — 偽陽性
- 陽性判定の合計594人、P(B)は5.94パーセント
- 99 ÷ 594 = 0.1667、つまりP(A|B)は16.7パーセント
- 反対の可能性P(¬A|B)は83.3パーセント
尤度比が示す検査そのものの強さ
尤度比は感度を偽陽性率で割った値です。事前確率と無関係に、その観察がどれだけ強い証拠かを表すので、異なる検査を比べるときに向いています。上の例では0.99を0.05で割って19.8になります。オッズで計算すると、観察前のオッズにこの値を掛けたものが観察後のオッズです。
- 10より大きければ確率を大きく引き上げる強い証拠
- 5から10の間は中程度の証拠
- 2から5の間は参考程度
- 1に近ければ事実上情報のない観察
- 1より小さければむしろ反対方向の証拠
陰性のときの確率は別に計算する
陽性のときの確率だけを見て、陰性なら安心してよいと判断してしまう場面が少なくありません。しかし陰性のときに残る確率は別の式で求めます。画面のP(A|¬B)がその値です。事前確率が高く感度が低いと、陰性でも確率がかなり残るため、二つの値を並べて見ないと判断が一方に傾きます。
- 陰性のときの確率 = 該当者かつ陰性 ÷ 陰性全体
- 上の例では1万人中の陰性が9,406人、そのうち該当者は1人
- 結果は0.01パーセントで、ほぼ除外に近い水準です
- 感度が80パーセントに下がると同じ条件でも陰性後の確率は目に見えて上がります
パーセントで受け取る理由
資料に書かれている数字はたいていパーセントです。論文の抄録にある感度も、製品データシートの誤除去率もパーセント表記です。小数に直して入れる過程で桁を一つ動かしてしまう間違いが多いため、この計算機は資料に書かれた形のまま受け取るようにしています。小数が必要な場合も0.1のようにそのまま入力できます。
- 日本語・韓国語・英語のページは小数点がピリオドです
- スペイン語・インドネシア語のページは小数点がコンマです
- 0から100を外れた値は自動で範囲内に調整されます
- 空けた欄は灰色の例の値で計算されます
よくある読み違い
ベイズ計算での誤解はたいてい同じ場所で生まれます。検査性能と結果の確率を同じものと見るか、事前確率を自分の集団ではなく全人口基準で入れる場合です。次の四つを先に確認すれば、結果が大きくずれることは減ります。
- 感度をそのまま陽性の確率として読む — 二つは向きが逆の条件付き確率です
- 特異度を偽陽性率の欄に入れる — 95を入れるべき場所に5を入れることになります
- 全人口の有病率を症状群の事前確率に使う — 実際より低く出ます
- 陰性の結果を0パーセントとみなす — 偽陰性は常に残ります
事前確率はどこから取るか
事前確率が結果を左右する以上、この値をどこから持ってくるかが計算の質を決めます。公表された有病率の統計、自前の履歴データ、そして検査対象をどう選んだかが根拠になります。対象の絞り込みがすでに行われているなら、全人口の統計をそのまま使ってはいけません。
- 公的機関が公表した有病率または不良率の統計
- 同じ条件で蓄積した自前の検査履歴における陽性確定の割合
- 症状や接触歴などですでに絞られた集団かどうか
- 確定できない場合は範囲を取り、事前確率の比較欄で上限と下限を並べて確認
二回検査したときの続け方
一回目の結果を二回目の事前確率に入れると更新が続きます。先の例で最初の陽性後に16.7パーセントが出たなら、事前確率の欄に16.7を入れて同じ性能で再計算し79.8パーセントを得ます。ただしこのやり方は二つの検査が互いに独立だと仮定しています。
- 一次陽性後の確率をそのまま事前確率の欄に入力
- 同じ感度・偽陽性率でもう一度計算
- 原理が同じ検査を繰り返すと誤りも繰り返されるため実際の上昇幅は小さくなります
- 方式の異なる二つの検査を組み合わせるときにこの計算が最もよく合います
結果を引用する前の確認
数字を得たあとそのまま書き写す前に、次の項目を一つずつ確認すると誤った引用を減らせます。特に事前確率の出典と対象集団を併記しておけば、あとで同じ数字を見返したときに条件を再構成できます。
- 事前確率の出典と基準時点を書き留めたか
- 三つ目の欄に入れた値が偽陽性率か特異度か確認したか
- 感度・偽陽性率が今回の対象集団と同じ条件で測られた値か
- 陽性だけでなく陰性のときの確率も確認したか
- 結果を伝えるとき確率と人数を並べて示したか
ベイズの定理計算機 よくある質問
確率は0から1の小数で入力するのですか。
いいえ。この計算機はパーセントで受け取ります。1パーセントは1、99パーセントは99と入力してください。従来の書き方で0.01と入れると0.01パーセントとして読まれます。小数が必要なときは0.1のように小数点を使います。三つの欄はいずれも0から100の範囲を外れると自動で範囲内に丸められます。
感度と特異度のどちらを入れるのですか。
二つ目の欄には感度を、三つ目の欄には偽陽性率を入れます。偽陽性率は100から特異度を引いた値です。資料に特異度95パーセントと書かれていれば、三つ目の欄には5を入れます。入力を終えると欄の下の案内行に特異度の換算値が表示されるので、資料の数字と合っているかそこで確認できます。
感度99パーセントなのに、なぜ陽性の確率が16.7パーセントなのですか。
事前確率が低いからです。1万人のうち実際の該当者が100人だと、そのうち99人が陽性になりますが、残る9,900人のうち偽陽性率5パーセントにあたる495人も陽性になります。陽性594人のうち実際の該当者は99人なので16.7パーセントです。検査性能ではなく対象集団の構成が結果を決める領域です。
P(B)は何を表す値ですか。
条件と関係なくその観察が出る全体の確率です。検査でいえば、任意の一人を検査したときに陽性が出る確率です。実際の該当者から出る陽性と非該当者から出る偽陽性を合わせた値なので、ベイズの定理では分母の役割を担います。この値が0だと陽性自体が出ないという意味になり、P(A|B)を定義できません。
尤度比が1より小さいときはどう読みますか。
その観察がむしろ反対方向の証拠だという意味です。尤度比は感度を偽陽性率で割った値で、1なら何の情報も与えない観察です。1より小さいと、陽性が出ているのに確率が観察前より下がります。偽陽性率を感度より大きく入力したときに起きるので、まず二つの値を入れ違えていないか確認してください。
自然頻度の基準人数を変えると確率も変わりますか。
確率は変わりません。1千・1万・10万人は同じ比率を人数に置き換えて見せるための基準にすぎません。ただし事前確率がごく低いときは1千人基準だと該当者が1人にも満たない小数になって感覚がつかみにくいので、その場合は10万人に上げるほうが理解しやすくなります。
同じ検査を二回行った場合はどう計算しますか。
一回目の結果を二回目の事前確率として入力します。先の例で最初の陽性後の確率が16.7だったなら、事前確率の欄に16.7を入れて感度と偽陽性率をそのままにすると79.8パーセントになります。ただしこの計算は二つの検査が互いに独立だという前提に立っています。同じ原理の検査を繰り返すと同じ誤りも繰り返されるため、実際の上昇幅はこれより小さくなります。
この計算機を医療の判断にそのまま使えますか。
判断の根拠にするには足りません。この道具は入力した三つの値が正確な場合の算術結果だけを示します。実際の検査は実施時期、対象者の年齢や症状、検体の状態、判読基準によって感度と偽陽性率が変わり、臨床ではこれらの数値に信頼区間が付きます。概念の確認と規模感をつかむ用途で使い、診断は担当医の判読に従ってください。
医療以外にも使えますか。
条件付き確率の構造が同じならどこにでも当てはまります。迷惑メール判定なら事前確率はメールに占める迷惑メールの割合、感度は迷惑メールを捕まえる割合、偽陽性率は正常なメールを誤って迷惑と判定する割合です。製造検査なら事前確率が不良率、感度が不良の検出率、偽陽性率が良品の誤除去率です。画面上の場面チップにこうした例が入っているので、押して数字の動きを比べてみてください。
参考資料
確認日: 2026-09-02。ベイズの定理そのものは確率の公理から導かれる数学の定理なので改定されることはありません。以下は定理の定義、感度・特異度・尤度比の標準用語、そして自然頻度表現の根拠を確認するための公開資料です。