結露は、表面が露点まで冷えたときに起きます
窓に水滴がつくかどうかは、湿度の数字だけでは決まりません。室内の空気の露点より冷たい表面があると、そこに水滴がつきます。室温20°C・湿度50%の露点は9.3°Cなので、窓ガラスの室内側の表面が9.3°Cを下回ると結露します。
表面がどこまで冷えるかは、ガラスの種類で変わります。この計算機は、JIS A 1514で温度低下率と呼ばれる比率を使います。表面温度 = 室温 − 温度低下率 × (室温 − 外気温) という式です。外気温が0°Cの夜、単板ガラス(温度低下率0.78)の室内側は4.4°Cまで下がって結露しますが、複層ガラス(Low-Eなし、0.377)は12.5°Cで乾いたままです。同じ室温・湿度でも、ガラスによって結果が分かれます。
結露を先に計算しておく理由
結露は水滴が出てから気づくことが多いのですが、同じ家でも外気温が数度下がる夜にだけ起きる場合があります。先に計算しておけば、加湿の目標湿度や、今夜どの場所から結露するかが分かります。
- 冬に加湿器を使うとき: 目標の湿度を決める前に、窓ガラスが耐えられる湿度の上限を確認します。
- 窓の結露を減らしたいとき: 湿度を何%に下げればよいか、外気温が何度を下回ると再び結露するかを計算します。
- ガラスの交換や内窓を考えるとき: 単板、複層、Low-E複層、Low-E三層で、結露しない湿度の上限がどれだけ違うかを比べます。
- 壁の隅や収納の裏にカビが出るとき: 水滴が見えなくても、表面湿度が80%以上かを確認します。
- 夏に冷房を強く効かせるとき: ガラスの外側に結露する条件と、結露しない室温を調べます。
計算のしくみ
- 露点: 室内の水蒸気圧 e = 湿度 ÷ 100 × 6.112·exp(17.62T ÷ (243.12 + T)) hPa を求め、この水蒸気圧がちょうど飽和になる温度を計算します。世界気象機関(WMO)の観測指針に載っている式です。
- 表面温度: 表面温度 = 室温 − 温度低下率 × (室温 − 外気温) です。ガラスの温度低下率は、選んだガラスの中央部の熱貫流率 Ug に0.13を掛けた値を使います。表面温度を直接測って入力した場合は、測った値を使います。
- 判定: 表面温度が結露する温度以下なら結露します。結露する温度は、表面が0°C以上なら露点、0°C未満なら霜点です。画面に出る小数第1位の値どうしで比べ、同じ値なら結露するものとして扱います。
- カビの条件: 測った場所のように水分を吸う場所は、表面湿度(室内の水蒸気圧 ÷ 表面温度での飽和水蒸気圧)が80%以上ならカビの条件として表示します。
- 湿度の上限: 表面温度がそのままのとき、結露しない最も高い整数の湿度を場所ごとに探します。
- 外気温の境界: 今の湿度で、表面が結露する温度まで冷える外気温を求めます。天気予報の夜の最低気温がこの値以下なら、朝に結露します。
- 冷房: 外のほうが暖かいときは、ガラスの外側面の温度 = 外気温 − 外側の比率 × (外気温 − 室温) と見積もり、外の空気の露点と比べます。外側の比率は、温度低下率 × (0.04 ÷ 0.13) ですが、室内側の比率との合計が1を超えないよう、最大でも1 − 温度低下率にします。0.13と0.04は、ISO 13788が窓の室内側(熱が水平に流れるとき)と外側の表面熱抵抗として定めている値です。
式 露点 = 243.12·ln(e ÷ 6.112) ÷ (17.62 − ln(e ÷ 6.112)) · 霜点 = 272.62·ln(e ÷ 6.112) ÷ (22.46 − ln(e ÷ 6.112)) · 表面温度 = T室内 − 温度低下率 × (T室内 − T外) · 測った値の温度低下率 = (T室内 − T表面) ÷ (T室内 − T外) · T: °C、e: hPa
ガラスの種類と温度低下率
JIS A 1514は、建具の結露防止性能を測る試験方法です。恒温恒湿室の空気温度を20°C、相対湿度を約40%にして温度を安定させ、そのあと湿度を50%(露点9.3°C)に上げます。このように条件は2段階で、湿度が50±2%に届いてから1時間後に結露の様子を目視で観察します。温度の測定値からは、各位置の温度低下率を Px = (θH − θx) ÷ (θH − θC) で求めます。θH は恒温恒湿室の空気温度、θC は低温室の空気温度、θx は求める位置の表面温度です。この計算機の比率は、この定義と同じです。温度低下率が小さいほど、表面は室温に近く保たれます。
板硝子協会の表は、ガラス中央部の熱貫流率 Ug として、単板ガラスを6.0、複層ガラス(Low-Eなし、乾燥空気、中空層12 mm)を2.9、Low-E複層ガラス(Low-E膜1枚、ガス入り、中空層12 mm)を1.6、Low-E三層ガラス(Low-E膜2枚、ガス入り、中空層12 mm)を0.90 W/(m²·K) としています。ISO 13788は、窓の室内側の表面熱抵抗を0.13 m²·K/Wとしているので、温度低下率は Ug × 0.13 と見積もれます。次の表は、室温20°C・外気温0°Cのときの表面温度です。
| ガラスの種類 | 温度低下率 | 表面温度 |
|---|---|---|
| 単板ガラス | 0.780 | 4.4°C |
| 複層ガラス(Low-Eなし) | 0.377 | 12.5°C |
| Low-E複層ガラス | 0.208 | 15.8°C |
| Low-E三層ガラス | 0.117 | 17.7°C |
温度低下率は Ug × 0.13 の見積もりで、ガラスの中央部だけの値です。サッシの枠やガラスの端は含みません。
外気温別の、結露しない湿度
次の表は、室温20°Cで、ガラスごとに結露しない最も高い室内湿度です。計算機の折りたたみの表は、入力した室温で計算し直します。
| ガラスの種類 | −10°C | −5°C | 0°C | 5°C | 10°C |
|---|---|---|---|---|---|
| 単板ガラス | 19% | 27% | 35% | 46% | 60% |
| 複層ガラス(Low-Eなし) | 48% | 54% | 61% | 69% | 78% |
| Low-E複層ガラス | 67% | 71% | 76% | 82% | 87% |
| Low-E三層ガラス | 80% | 83% | 86% | 89% | 92% |
外気温が0°Cの夜、単板ガラスは湿度35%以下でないと乾きません。複層ガラス(Low-Eなし)は61%、Low-E複層ガラスは76%まで耐えます。湿度50%のとき、複層ガラスは外気温が−8.3°C以下になるまで結露せず、Low-E複層ガラスは−31.3°Cまで結露しません。単板ガラスは外気温が6.3°C以下で結露し始めます。
表面温度を測って、自宅の温度低下率を求める
古い窓や、壁の隅、サッシの下などは、表の値と実際の性能が違うことがあります。そのような場所は、表面温度を一度測れば、その場所の温度低下率を求めて、もっと寒い夜を先に計算できます。
- 外が室内よりかなり寒い日を選びます。室内と外の温度差が大きいほど、温度低下率は正確になります。
- 暖房が安定してから、室温・湿度と外気温を同じ時刻に記録します。
- 結露が先に出る場所(ガラスの下の隅、サッシの下、壁の隅)の表面温度を測ります。
- 計算機で「測った場所」のカードを選び、「測った場所の表面温度」の欄に入れます。
たとえば室温20°C、外気温0°Cの日に壁の隅が8.0°Cだった場合、温度低下率は (20 − 8) ÷ (20 − 0) = 0.600です。露点9.3°Cより低いので結露しています。湿度を45%以下に下げれば乾き、湿度50%のままなら外気温が2.2°C以下になる夜から結露します。室内と外の温度差が3°C未満の日は、誤差が大きくなるため温度低下率を求めません。
赤外線温度計は、ガラスのように反射の大きい表面では放射率の設定によって誤差が大きくなることがあります。機器の説明書にある材質別の測り方に従い、できれば接触式の表面温度計でも確かめてください。
水滴がなくても、カビの条件になることがあります
ISO 13788は、表面の月平均の相対湿度が臨界値 φsi,cr を超えるとカビの危険があるとし、国の規定などで別の情報がなければ φsi,cr を0.8(80%)とすると定めています。この計算機が見せるのは、入力した条件の一時点の表面湿度です。同じ状態が何日も続く場所では、警告として受け取ってください。
室温20°C・湿度50%で、外気温0°Cの日に壁の隅が11.0°Cだったとします。温度低下率は0.450で、露点9.3°Cより高いので水滴はつきませんが、表面湿度は88%です。湿度を44%以下に下げると、80%を下回ります。湿度50%のままだと、外気温が3.5°C以下でカビの条件になり、−3.7°C以下では水滴もつきます。
氷点下の表面には霜がつきます
表面が0°Cより冷たいと、水蒸気は水ではなく氷として付着します。このときは、氷の上の飽和水蒸気圧 6.112·exp(22.46t ÷ (272.62 + t)) hPa で求めた霜点と比べます。空気がとても乾燥していて露点が0°C未満の場合、霜点は露点より少し高くなります。室温20°C・湿度15%なら、露点は−7.5°C、霜点は−6.6°Cです。この計算機は、0°C未満の表面を氷を基準に判定し、「霜」と表示します。単板ガラスの場合、室温20°C・湿度50%で外気温が−10°Cだと、室内側の表面は−3.4°Cになり、霜がつきます。
夏の冷房中、窓の外側の結露
冷房で室内が外より冷えると、熱の流れる向きが変わり、ガラスの外側面が外の空気より冷えます。外の空気の露点が外側面の温度より高いと、窓の外側に水滴がつきます。計算機に室温より高い外気温を入れると、外の湿度の欄が開いて、この場合を判定します。
ただし、ガラスの外側面は室内側ほど冷えません。外側の表面熱抵抗が小さいからです。室温26°C、外気温33°C、湿度80%の日は、外の露点が29.1°Cです。単板ガラス(温度低下率0.78)でも外側面は31.5°Cで、露点より2.4度高く、結露しません。外側の比率は0.78 × 0.04 ÷ 0.13 = 0.240ですが、1 − 0.78 = 0.22に切り下げて計算します。室温が15.5°C以上なら乾いたままです。複層ガラス(Low-Eなし)は、室温を氷点付近まで下げても乾いたままです。
間違えやすいこと
- 湿度だけで判断する: 室温20°C・湿度50%で同じでも、外気温が0°Cの夜、単板ガラスは結露し、複層ガラス(Low-Eなし)は乾いたままです。
- 熱貫流率の数字を、そのまま温度低下率とみなす: 温度低下率は Ug × 0.13 の見積もりです。Ug が6.0なら0.78、0.90なら0.117になります。
- ガラスの中央部だけを見る: 結露はガラスの端やサッシの枠から先に起きやすくなります。板硝子協会の値は中央部だけなので、気になる場所は表面温度を測って確かめてください。
- 湿度の上限を目標にする: 上限は、その湿度でちょうど結露し始める境目です。湿度計の誤差と夜間の気温低下を考えて、数%低めに管理してください。
- 換気すれば必ず湿度が下がると思う: 外の空気の水蒸気量が室内より多ければ、かえって増えます。換気の効果は、室内の適正湿度計算機で外気温と湿度から確かめられます。
限界
- ガラスの温度低下率は、中央部の熱貫流率から見積もった値です。実際の表面温度は、カーテン、家具、暖房器具の位置、風、日差しで変わります。正確な判断には、測った表面温度を使ってください。
- 室温・湿度と外気温が一定の状態として計算します。気温が急に下がる夜や、調理・入浴の直後のように湿度が一時的に上がるときは、計算より早く結露することがあります。
- 壁の中の結露、材料が含んだ水分、漏水は計算しません。同じ場所が繰り返し濡れるときは、漏水や断熱の欠陥を別に点検してください。
- この結果は、不具合の判定や性能の認証に代わるものではありません。日本の住宅に対する公的な結露の基準値は確認できていないため、基準値としては示していません。
- 冷房中の外側面の計算は、ISO 13788の表面熱抵抗をそのまま使った見積もりです。風が弱い日は、外側面が計算より冷えることがあります。
出典
- 01板硝子協会「ガラスの仕様と枠の種類に応じた窓の熱貫流率・日射熱取得率」(2025.04)ガラス中央部の熱貫流率 Ug: 単板6.0、複層(2FA12)2.9、Low-E複層(2LgG12)1.6、Low-E三層(3WgG12)0.90 W/(m²·K)
- 02JIS A 1514:2015 建具の結露防止性能試験方法7.1 温度低下率 Px = (θH − θx) ÷ (θH − θC)、6.3 恒温恒湿室20°C・相対湿度約40%から50%に上げる手順、7.2 相対湿度50%の露点9.3°C
- 03ISO 13788:2012 公開プレビュー臨界表面湿度 φsi,cr 0.8、窓・扉の室内側の表面熱抵抗 0.13 m²·K/W(水平の熱流、表2)、外側の表面熱抵抗 Rse 0.04
- 04NCAR/EOL: Water Vapor Pressure FormulationsWMO(2008)の飽和水蒸気圧: 水の上 6.112·exp(17.62t ÷ (243.12 + t))、氷の上 6.112·exp(22.46t ÷ (272.62 + t)) hPa
- 05米国板ガラス協会(NGA)Glass Technical Paper FB49-17(2022)ガラス中央部の U 値は、窓全体の U 値より小さくなるのが通常で、窓全体の結露抵抗は端部・中央部・枠の熱性能で決まる
よくある質問
湿度が50%でも窓が結露するのはなぜですか?
結露は湿度の数字ではなく、表面温度と露点の比較で決まります。室温20°C・湿度50%の露点は9.3°Cなので、ガラスの表面がそれより冷えれば、湿度が適正でも水滴がつきます。外気温が0°Cの夜、単板ガラスの室内側は4.4°Cまで冷えるため、同じ湿度でも結露します。
ガラスの種類で結露はどれくらい変わりますか?
室温20°C・外気温0°Cのとき、結露しない最も高い湿度は、単板ガラスが35%、複層ガラス(Low-Eなし)が61%、Low-E複層ガラスが76%、Low-E三層ガラスが86%です。ガラス中央部の熱貫流率が小さいほど表面が冷えにくく、結露する湿度が高くなります。
温度低下率とは何ですか?
室内と外の温度差のうち、表面が室温からどれだけ下がるかを示す比率で、(室温 − 表面温度) ÷ (室温 − 外気温) で求めます。JIS A 1514の7.1が定める温度低下率と同じ定義です。値が小さいほど、表面は室温に近く保たれます。この計算機は、ガラスの中央部の熱貫流率に0.13を掛けて見積もります。
自宅の窓の温度低下率はどう調べますか?
外が室内よりかなり寒い日に、気になる場所の表面温度を測って、計算機の「測った場所」の欄に入れると、温度低下率を求めます。室温20°C、外気温0°Cで8.0°Cだったなら、(20 − 8) ÷ (20 − 0) = 0.600です。室内と外の温度差が3°C未満の日は、誤差が大きいため求めません。
結露を防ぐには、湿度を何%にすればよいですか?
室温、外気温、ガラスの種類で変わります。室温20°C・外気温−5°Cの夜なら、結露しない湿度の上限は、単板ガラスが27%、複層ガラス(Low-Eなし)が54%、Low-E複層ガラスが71%、Low-E三層ガラスが83%です。上限はちょうど結露し始める境目なので、数%低めに管理してください。
カビの条件は、結露とどう違いますか?
水滴が見えなくても、壁の表面の相対湿度が高い状態が続くとカビが生えることがあります。ISO 13788は、国の規定などで別の情報がなければ、表面の月平均の相対湿度の臨界値を80%とします。計算機は、測った場所に対してカビの条件を別に表示します。室温20°C・湿度50%で壁の隅が11.0°Cなら、表面湿度は88%で、湿度を44%以下に下げると80%を下回ります。
氷点下の日にガラスにつくのは水ですか、霜ですか?
表面が0°Cより低いと、水蒸気は氷として直接付着し、霜になります。そのときは露点ではなく、氷の上の飽和水蒸気圧から求めた霜点と比べます。室温20°C・湿度50%で外気温が−10°Cの夜、単板ガラスの室内側は−3.4°Cになるため、霜がつく条件です。
夏に冷房を使うと、窓の外側が濡れることはありますか?
外の空気の露点が、冷房で冷えたガラスの外側面の温度より高ければ、外側に水滴がつきます。室温26°C、外気温33°C、湿度80%の日は、外の露点が29.1°Cで、単板ガラスの外側面は31.5°Cなので、結露しません。外の湿度と外気温を入れると、結露しない室温を計算します。