PDFのロック解除: 知っているパスワードを入力すると、パスワードなしで開けるコピーを作ります
PDFのロック解除とは、パスワードで保護されたPDFから暗号を外したコピーを作ることです。このツールは、パスワードを1つ入力すると、一覧に追加したPDF(最大20件)すべてに順番に試し、合致したファイルごとにコピーを作成します。入力したのが権限パスワード(オーナーパスワード)なら、印刷やコピーの制限も外れたコピーに、開くパスワード(ユーザーパスワード)なら、パスワードなしで開けるものの作成者が設定した制限は残ったコピーになります。作成したコピーはその場で開き直し、パスワードなしで全ページを開けると確認できた場合にだけ、保存ボタンが使えるようになります。
たとえば[サンプルを解除する]を押すと、架空の給与明細(1ページ、AES-256、制限なし)と架空のカード明細(2ページ、AES-128、コピー・編集の制限あり)を、パスワード900101で解除します。給与明細は暗号がすべて外れ、カード明細は開くパスワードだけが外れて、コピー・編集・注釈・フォームの制限が残ります。一覧の「開いた後の制限」欄で、2つの結果の違いをすぐに確認できます。選んだPDFとパスワードはサーバーに送らず、いま使っているブラウザー内だけで処理します。
PDFのロックを解除する場面
- 毎月届く明細を1か所にまとめたいとき: カード利用明細、給与明細、保険料のお知らせなど、メールで届くPDFは、発行元が決めたパスワードで保護されていることが多くあります。保管用フォルダーに移すたびにパスワードを入力するのが面倒なら、同じパスワードの数か月分をまとめて追加して解除できます。
- ほかのPDFツールで使いたいとき: PDFの結合・分割・圧縮などのツールは、保護されたファイルを受け付けないことがよくあります。Roberinの「PDF分割」と「PDF圧縮」も、開くときの暗号や編集制限がかかったファイルは受け付けないため、先に権限パスワードで解除したコピーを使う必要があります。
- 提出先が暗号なしのファイルを求めるとき: 社内の申請システムや書類の提出窓口には、暗号化された添付ファイルを開けないところがあります。パスワードを別途伝えられない場合は、ロックを解除したコピーを提出することになります。
- 開くたびに求められるパスワードだけをなくしたいとき: 印刷やコピーの制限まで外す必要はなく、パスワードの入力だけが手間なら、開くパスワードだけを入力すれば十分です。制限はそのままで、パスワードなしで開けるコピーが作られます。
使い方
- 保護されたPDFを作業スペースにドラッグするか、[PDFを選ぶ]を押します。複数のファイルをまとめて追加でき、追加したファイルごとにロックの種類(開くときにパスワードを求められるか、制限だけがかかっているか)がすぐに表示されます。
- 受け取ったパスワードをそのまま入力します。目のアイコンを押すと、入力した文字を確認できます。
- [ロック解除]を押すと、一覧の上から順に解除します。行ごとに「開くパスワード」と「開いた後の制限」の欄が結果に合わせて変わり、パスワードなしで開き直した1ページ目が左に表示されます。
- 「要確認」のまま残ったファイルがあれば、別のパスワードを入力して[ロック解除]をもう一度押します。すでに解除できたファイルはスキップされます。
- 行ごとに[保存]を押すか、結果が2件以上あるときは[ZIPですべて保存]を押します。コピーのファイル名は元の名前の後ろに-unlocked.pdfが付き、端末にある元のファイルは変更されません。
どのパスワードで何が解除できるか
PDFの暗号には2種類のパスワードがあります。開くパスワード(ユーザーパスワード)は文書を開くときに求められるパスワードで、権限パスワード(オーナーパスワード)は印刷・コピー・編集などの利用権限を決めるパスワードです。PDFの規格(ISO 32000-1 7.6.3.1)では、どちらが合っていても文書を開いて表示できますが、権限パスワードで開いた人にはパスワードや権限を変更できる全権限を与え、開くパスワードで開いた人には文書に記された権限の範囲内の操作だけを許可すると定めています。このツールもこの区別にそのまま従います。
| 元のPDF | 入力したパスワード | 作られるコピー |
|---|---|---|
| 開くときにパスワードが必要、制限なし | 開くパスワード | 暗号がすべて外れたコピー |
| 開くときにパスワードが必要、印刷・コピーなどの制限あり | 開くパスワード | パスワードなしで開け、制限はそのままのコピー |
| 開くときにパスワードが必要、制限あり | 権限パスワード | パスワードも制限もないコピー |
| パスワードなしで開け、制限のみあり | 権限パスワード | 制限のないコピー |
| パスワードなしで開け、制限のみあり | なし、または別のパスワード | 作成しない(権限パスワードが必要) |
| 暗号も制限もない | — | 解除するロックがないため、そのまま使用 |
制限をそのまま残したコピーは、開くパスワードだけを空にして、AES-256で保護し直したファイルです。このツールは、コピーに記録された制限が元のファイルと同じであることを確認してから出力します。保護し直すときの権限パスワードは256ビットの乱数で作り、どこにも残しません。そのため、このコピーの制限は誰にも解除できず、制限を外す必要があるときは、元のファイルと権限パスワードでやり直すことになります。ただし、スクリーンリーダー向けの文字抽出の制限は、制限として数えません。qpdfのマニュアルによると、PDFの規格は読み上げソフトがこの制限を無視して常に許可するよう定めており、AES-256方式ではqpdfがこの指定を使いません。そのため、この制限だけがかかったファイルは、開くパスワードでも暗号がすべて外れます。
印刷・コピーの制限は、権限パスワードがないと解除できません
PDFの印刷制限やコピー禁止は、作成者が意図して設定したものです。このツールが使うqpdfのマニュアルも、暗号を外す機能(--decrypt)は、著作権保護や制作者が設定した制限を回避する目的のものではないと明記しています。法的な面でも、WIPO著作権条約(WCT)第11条は、締約国に対し、著作者が権利の行使に関連して用いる効果的な技術的手段の回避を防ぐ適切な法的保護と救済措置を設けるよう求めています。文書が著作物で、その制限を権利者が設定したものなら、各国の法律に抵触するおそれがあります。そのためこのツールは、権限パスワードが合っているときにだけ制限を外します。
制限のために作業できないときは、次の順で確認してみてください。
- 何が制限されているかを先に確認する: 追加したファイルの「開いた後の制限」欄に、制限されている項目が表示されます。「高画質印刷」だけが制限されたファイルは、低画質であれば印刷できます。
- 作成者に依頼する: 文書の送付元に、権限パスワードか、制限のないコピーを依頼するのが最も確実です。
- 自分で作った文書なら、元のファイルから保存し直す: Word、Excel、一太郎などの元のファイルからPDFとして保存し直せば、制限のないPDFができます。
パスワードが合っているのに解除できないとき
パスワードのエラーは、入力の形式がわずかに違っているだけで起きることがほとんどです。このツールは、入力したパスワードの前後の空白を削ったり文字を変えたりせず、受け取ったとおりに使います。そのかわり、間違っていたときによくある原因を、そのファイルの行でお知らせします。
- 全角で入力している: 日本語入力(IME)がオンのままだと、英数字が全角の「pass123」のように入力されます。見た目は似ていても別の文字なので、パスワードは一致しません。パスワードに全角文字が含まれていると、ツールがお知らせします。かな入力のままキーを押した場合も、英字の代わりにかなが入ります。
- Caps Lock: 大文字と小文字は区別されるため、Caps Lockがオンだと一致しません。パスワード欄でCaps Lockがオンになると、案内表示が切り替わります。
- 貼り付けた空白: メールからコピーしたパスワードの前後に、スペースが付いてくることがあります。前後にスペースがある誤ったパスワードには、あわせてお知らせします。
- 桁数と記号: 生年月日をもとにしたパスワードなら、6桁か8桁か、ハイフンを入れるかを案内文と同じに合わせます。同じ発行元でも、文書の種類によって規則が異なる場合があります。
- 開くパスワードと権限パスワードの取り違え: パスワードなしで開けるのに印刷・コピーだけが制限されているファイルは、権限パスワードでしか解除できません。ここに開くパスワードを入力すると、「権限パスワードが違います」と表示されます。
- 古いPDFの日本語パスワード: 古い方式(AES-128・RC4)で保護されたPDFは、パスワードの文字を別の文字コードで保存していることがあります。qpdfはこうした文字コードの違いを自動で補正して試すため、受け取ったとおりに入力すれば大丈夫です。
解除後のコピーで変わるもの、変わらないもの
コピーから外れるのは暗号化で、権限パスワードで解除した場合は利用制限も一緒に外れます。ページ数と順序、本文の文字、画像、しおりとリンク、タイトルや作成者などの文書情報はそのまま残ります。ただし、暗号化の情報を除いてファイル構造を書き直すため、サイズは少し変わります。下の表は、[サンプルを解除する]の2つのファイルを、このツールのエンジンで実測した値です。サイズが変わっても、画質が落ちたり内容が欠けたりすることはありません。
| サンプル | 元のファイル | 作られたコピー | 元のサイズ | コピーのサイズ |
|---|---|---|---|---|
| 給与明細(1ページ) | AES-256、制限なし | 暗号がすべて外れる | 202,655バイト | 201,578バイト |
| カード明細(2ページ) | AES-128、コピー・編集・注釈・フォームの制限あり | 開くパスワードだけを空にしてAES-256で保護し直し、制限はそのまま | 203,225バイト | 203,525バイト |
コピーは、2回の確認を経てから出力します。まずqpdfで、コピーに暗号が残っていないか(制限を残したコピーなら、パスワードなしで開け、制限が元のファイルと同じか)、構造上の警告がないか、ページ数が元のファイルと同じかを検査します。次にpdf.jsで、パスワードなしでコピーを開いてページ数を数え直し、1ページ目を描画します。行の左側に表示される1ページ目の画像が、パスワードなしで開いたコピーの実際の姿です。
電子署名付きのPDFは解除しません
証明書で電子署名したPDFには、署名した時点のファイルのバイト列から計算したダイジェストが保存されています。PDFの規格(ISO 32000-1 12.8.1)では、検証のときにこの値を再計算して比較し、値が違えば署名後に文書が変更されたとみなすと定めています。暗号を外して保存し直すとバイト列が変わるため、画面上は署名の見た目が残っていても、文書の真正性を確認できないファイルになってしまいます。そのためこのツールは、署名値、文書タイムスタンプ、認定署名(DocMDP)、利用権限署名(UR3)のいずれかがあるPDFについては、結果を作成しません。まだ署名していない空の署名欄だけがあるPDFや、署名の画像・印影の画像が貼ってあるだけのPDFは、電子署名ではないため解除できます。
解除したコピーの保管と送付
- 解除したコピーは、ファイルさえあれば誰でも開けます。明細のように個人情報が含まれるコピーは、共用のパソコンや、複数人が使うクラウドフォルダーにそのまま置かないでください。
- 元のファイルとコピーのどちらを保管するかを決めて、不要なほうは削除します。
- 編集を終えて他の人に送り直すときは、PDFパスワード設定ツールで新しいパスワードを設定し、パスワードはファイルとは別の方法で伝えてください。
制限事項と注意点
- パスワードを探したり推測したりする機能はありません。入力したパスワードは保存しないため、後から確認することもできません。
- 一度に追加できるのは20件まで、1ファイル100 MBまで、合計500 MBまでです。1つのファイルが2分以内に終わらない場合は中断します。
- このツールが使うブラウザー版のqpdf 12.2.0は、壊れた相互参照テーブルを再構築する修復には対応していません。構造を読み取れないと表示されたときは、PDFビューアーでパスワードを入力して開き、名前を付けて保存したコピーで、もう一度お試しください。
- 制限を残したコピーは暗号化されたファイルのままなので、保護されたPDFを受け付けないツール(PDF分割・圧縮など)には使えません。
- このツールはChromeで動作を確認しています。スマートフォンでは、大きなファイルを複数解除するとメモリが足りなくなって止まることがあります。
基準日 PDF規格、qpdfのマニュアル、WIPO著作権条約の出典は、2026-10-21に確認しました。
出典
- 01ISO 32000-1:2008 Document management — Portable document format (Adobe公開版)7.6.3.1 権限パスワードと開くパスワードで開いた人の権限の違い、表22 利用権限のビット、12.8.1 電子署名のバイト範囲ダイジェスト
- 02qpdf マニュアル — Running qpdf--decryptは制作者が設定した制限を回避する用途ではないこと、パスワードの文字コードの自動補正、暗号化オプション(--accessibilityは規格上常に許可、256ビットでは無視)。このツールは、qpdf 12.2.0をブラウザー向けにビルドしたものを使用(Apache-2.0ライセンス)
- 03WIPO Copyright Treaty (WCT)第11条(技術的手段に関する義務)
- 04pdf.js 3.11.174コピーをパスワードなしで開き直し、ページ数を数えて1ページ目を描画するのに使用(Apache-2.0ライセンス)
よくある質問
パスワードが分からないPDFも解除できますか?
解除できません。このツールは、すでに知っているパスワードでコピーを作るだけで、パスワードを探したり、複数の候補を試して推測したりする機能はありません。パスワードを忘れた場合は、文書の送付元にお問い合わせください。給与明細やカード明細なら、発行元のサイトやアプリから再取得できることがあります。
PDFやパスワードはサーバーにアップロードされますか?
いいえ。選んだPDFと入力したパスワードは、いま使っているブラウザー内だけで処理します。ページを開くときに処理エンジンのファイルをダウンロードしますが、PDFの内容やパスワードはどこにも送信せず、保存もしません。
「PDFの保護がかかっている」場合、印刷やコピーの制限も解除できますか?
権限パスワードがあれば解除できます。開くパスワードしか分からない場合は、パスワードなしで開けるコピーまでしか作れず、作成者が設定した印刷・コピー・編集の制限は残ります。制限を外す必要があるときは、作成者に権限パスワードか制限のないコピーを依頼してください。なお、AcrobatなどのPDFビューアーにある「保護モード」の設定は、このツールとは別の機能です。
開くパスワードと権限パスワードは何が違いますか?
開くパスワード(ユーザーパスワード)は、文書を開くときに求められるパスワードです。権限パスワード(オーナーパスワード)は、印刷・コピー・編集などの利用権限を決めるパスワードです。PDFの規格では、権限パスワードで開いた人にはパスワードや権限を変更できる全権限を与え、開くパスワードで開いた人には作成者が定めた権限の範囲内の操作だけを許可します。
ファイルごとにパスワードが違う場合はどうすればいいですか?
一度に試せるのは1つのパスワードで、一覧のすべてのファイルに試します。合わなかったファイルは「要確認」のまま残るので、別のパスワードを入力して[ロック解除]をもう一度押してください。すでに解除できたファイルはスキップし、残りのファイルだけを再試行します。
ロックを解除すると、画質や内容は変わりますか?
変わりません。外れるのは暗号化と、権限パスワードで解除した場合の利用制限だけです。ページ、文字、画像、しおりはそのままで、ファイル構造だけを書き直すため、サイズが少し変わることがあります。サンプルの給与明細は、202,655バイトから201,578バイトになりました。
スマートフォンでも解除できますか?
WebAssemblyに対応した最新のブラウザーなら、スマートフォンでも動作するように作っており、動作確認はChromeで行いました。ただし、大きなPDFを複数解除すると、端末のメモリが足りなくなって止まることがあります。その場合は数件ずつに分けるか、パソコンで行ってください。
電子署名付きのPDFを解除しないのはなぜですか?
電子署名は、署名した時点のファイルのバイト列が変わっていないかで検証します。暗号を外して保存し直すとバイト列が変わり、画面上は署名の見た目が残っていても、署名の検証ができなくなります。そのため、署名付きのPDFは結果を作成しません。まだ署名していない空の署名欄や、印影の画像だけがあるPDFは解除できます。